あなた「おはようございますっ!」
黒尾さんに続いて体育館に入ると、既にほとんどの部員が来て準備を進めていた。
田中「おっ!あなた復活か!」
はい!と答え、昨日の私が倒れた後の試合の様子などを少し聞いていると、澤村さんに「なぁ、西谷がまだ居ないんだけど……知らないか?」と聞かれ、あぁまずいと急いで体育館を出る。
東階段の2階の……どこだっけ……、、
焦りまくってとりあえず東階段を掛け上ると、踊り場あたりに彼が立っていた。
あなた「すみませんっ、遅れました…!」
西谷「…、わりぃ、急に呼び出して。」
あなた「全然です…!」
西谷「……昨日さ、急に抱きしめたりして…、ごめん」
あなた「……?!」
西谷「なんていうか……自分以外の誰かがあなたに触れた、ってのがなんか嫌で、すっげぇ嫌で……あんまわかんねぇけど…、」
__上書き、したくなって。
”上書き”
『辛い過去なんか忘れるくらいの、恋、してみたらいいじゃん』
いつかリエーフに言われた言葉を思い出す。
大丈夫です、と伝えると、西谷さんは少し笑ってありがとな、と言った。
西谷「あー、それと…あなたに聞きたいことあってさ……」
あなた「……なんでしょう?」
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。