顔が死んでいる日向と影山を置いて、バスに揺られながらぐっすりと眠っていると、なんだか右肩が重くて目が覚めた。
重い瞼を擦り、パチパチと瞬きをすると右肩に乗って気持ちよさそうに眠る西谷さんの姿が。
そういえば人数の関係とジャンケンで隣になったんだっけ、と眠る脳でぼんやり考えていると、『西谷さんのことを好きかもしれない』と前に自分が考えていたことを思い出し、ぼっと顔が赤く染まるのが自分でも分かり、一気に目が覚める。
運転席にいる武田先生に後どのくらいで着くか小声で聞いてみると、1時間30分くらいと返され、1時間半もこの状況に耐えられるか不安になりながら西谷さんの顔を覗いて見た。
前髪が目にかかって擽ったそう、と思いながら皆が寝てることを確認してサラッと髪を撫でてみた。
あなた「っ……。。」
いつもカッコいいスーパーリベロが、こんなに可愛い寝顔してていいんですか?
その寝顔を独り占めしてる私は、再び襲いかかってきた睡魔に負け、窓の方に寄りかかって眠りについた。
「おーい、起きろー?いつまで寝るつもりだー?」
いい加減起きろ!待たせてるだろうがっっ!
菅原さんの声が聞こえ、夢の中をさまよっていると、大地さんの大声が聞こえ飛び起きる。
全くお前は……とお叱りを受けながらバスをおりると、久しぶりの黒尾さんの姿が。
黒尾「お前バスに寄りかかって寝てたから、寝顔がばっちり見えてたぞ」
あなた「なっ……」
黒尾「ほら、早く体育館行くぞ、」
お前相変わらずちっせえな、と笑ってくる黒尾さんに「そっちが大きすぎるんですよ」と睨みながらいつの間にか体育館に入っていった澤村さん達を追いかけた。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。