黒尾side
くっそ……なんだよ…
あなたに近づきたい、話したい、そう思ってもできない。
みんなが俺をあなたに近ずけないようにしている。
最終日なのに……あなたが宮城に帰ってしまう日なのに……
料理を作っているあなたの方を見ただけでも、
肩に頭を乗せている2人に睨みつけられる。
あなたの隣に行こうとしても、止められるだけ。
黒尾「やっくん〜…そろそろ離してもらえませんか〜」
夜久「あなたに手出すから絶対ダメ!てか、なんであなたと寝てたんだよ!おまえ絶対なんかしただろっ」
掴まれた腕は離れないまま。あなたの方に力ずくで行こうとしても、凄い力で引っ張られる。
監督が早めに練習を切り上げてくれたので、あなたも混ざっての試合を始めることになった。
犬岡「中学のときはポジションどこだったの?」
あなた「一応WS、レフトだったよ!」
楽しそうに犬岡と話すあなたを見て、嫉妬心が湧く。
とりあえずまだ動ける人だけでの試合、ということで5人ずつチームを分けた。
…………やっぱりな。
あなたとチームが別れるっていうのは、分かってた。
一緒になったら、話すチャンスがふえるとおもったのになぁ…
あなたside−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
同じチームになった研磨くんと合わせる練習を少しだけする。
床を蹴り、手を思い切り振る。
スカッ
研磨「あ…」
ストッと足を床に戻した。
あなた「ごめ、やっぱ男子のネット高いね…」
1年位やってなかったのもあったのか、ジャンプが全然駄目だった。
犬岡「あなた、身長低いのに結構飛ぶな!ビュンって!!」
ジェスチャーを使いながらビュンを表現する犬岡くんに苦笑しながら、何度かやって、やっと研磨くんと合わせることができた。
猫又「そろそろやめにしろよー!」
スパイクはブロックに捕まり放題、ブロックは上から叩かれるなど、レシーブくらいしか良いところがなかった…と落ち込みながら、コートにいるときの背中の守りの安心感が凄いなぁなんて考えていた。
タオルで汗を拭いたあと、スマホを見るとメールが着ていた。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。