2人で住宅街を歩く。
また大人気ないことを言われたのか、と思いきやそうではないようだった。
『お前は考えたの? チビちゃんが欲しいトスに100%応えているか 応える努力をしたのか』
『勘違いするな 攻撃の主導権を握っているのはお前じゃなくチビちゃんだ』
やっぱり流石だ、徹くん。
セッターとしてよく分かってる。
点検終わったかもしれないから体育館行く、という影山の横に並んで歩きながら、なんて返事をしようか迷った。
……そう、徹くんの言っていること、日向の言っていたことはもちろん正しいし、それが完成すれば飛躍的に進化できる。
でも、それができるかは___
ム”ーム”ー…
着信音がなり、影山が携帯を開く。
少しして「影山ァァァァァ!!!」と凄い形相と勢いで烏養さんが走ってきた。
二人で坂ノ下に連行された。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。