第156話

第3体育館
2,817
2021/09/18 04:19
山口忠
山口忠
あ、あなたっ
一通り今日の日程が終わり今から自主練、というタイミングで山口くんに声をかけられた。
山口忠
山口忠
生川高校がやってた「サーブ&ブロック」…
烏野うちでもできるかな?
あなた
サーブは山口くんのジャンフロが出来上がれば良いけど……、ブロックか…うん。
できるよ!絶対!と言ったが、正直わからない。



呼び出されたのと、相談も兼ねて取り敢えず黒尾さんのところに向かった。








────ドンマイ



────落とすくらいならアゲないで下さい!!!


第3体育館近くに行くと、何やら声が聞こえた。
陰からちらりと覗くと、月島くん、木兎さん、黒尾さん、赤葦さんがみえた。
よく聞こえなかったが、黒尾さんが得意の挑発顔で何か言うと、月島くんは大股で体育館に入っていった。
あなた
黒尾さん!
黒尾鉄朗
黒尾鉄朗
お、あなた。ちょうどいいところに
リエーフのレシーブ練を手伝って欲しいと言われたので、その代わりに月島くんを変えて欲しいと頼んだ。






ボールを山なりにふわりと投げる。
ポン、と返ってきた。


多少荒いところもあるが、流石音駒。


たった数ヶ月でこのレシーブか。どんな練習してるんだろ……。


黒尾さんがなかなかキツそうなワンマンをリエーフにやらせるので、このくらいやっていいのかなと遠めにやってみると、リエーフは直ぐに床と一体化した。
灰羽リエーフ
灰羽リエーフ
あなた…っ、あなたのキツすぎっ
あなた
んー、このくらいなら日向でもとれるかな…
灰羽リエーフ
灰羽リエーフ
んなっ……もっかい!!!!もっと遠くして!!
勢いよく放たれた言葉とは裏腹に、また直ぐにへばったリエーフだった。










あなた
黒尾さん、自主練で呼び出したのってリエーフのレシーブ練習だけですか?
いや。黒尾さんはそう言って私の方に向き直り、真っ直ぐ私の目を見つめた。
黒尾鉄朗
黒尾鉄朗
…お前さ、全部顔に出てんぞ
あなた
へ、?
黒尾鉄朗
黒尾鉄朗
だーかーら!お前が好きなやつのこと見るとき、ぜーんぶ顔にでてる
あなた
え…、、まじですか
黒尾鉄朗
黒尾鉄朗
まじですよ
黒尾鉄朗
黒尾鉄朗
俺が言いたいのは、お前のキラキラしてる顔はホントに可愛いけど、傷ついたような顔は見たくねーの。
あなた
?!
黒尾鉄朗
黒尾鉄朗
あんま溜めんなよ?
ま、なんかあったら俺んとこ来いよ。とだけ言って月島くんたちの方に行ってしまった。
顔にでてる、って……。



うわ…、



確かに、西谷先輩のあの笑顔も、仕草も、プレーも。



そして「潔子さんっ!!」と走って行く姿も。


先輩は潔子さんが好きなのに。



叶わない恋なのに。



たまに期待してしまう自分が嫌だ。




『あんま溜めんなよ?』






いっそのこと、突き放してもらおうか。なんて…





























あなた
…よし。

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