黒尾side
アイツ、見た目以上にドジなんだな……
そんなことを考えながら部屋の扉を叩こうとすると、中から声が聞こえた
あなた「ちょっと……まっ…てよ…や…っ」
?「悪かったって。これからは絶対、傷つけたりしねぇから。な?いいだろ?」
あなた「よくない…!」
あなたside┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
晴樹だ。
人って1年半でこんなに変わるんだ…
前までは、飾らない人だったのに…今は……金髪にピアス、首には銀色に光るネックレス。
彼は、私を壁に押付け、腕を掴んで固定。そして自分から振ったはずなのに、交際を申し込んでくる。
あなた「なんで…東京に居るの……っ」
晴樹「あー、今日たまたま合宿でここ来てたんだよ。お前もそんな感じだろ?やっぱ俺らって運命…」
なんて言いながらニヤニヤとする姿は、あのときの好きだった頃の晴樹ではなかった。
晴樹「な、いいだろ?」
あなた「……よくない」
晴樹「頑固だな。ま、キスでもしたら…ちょっとは変わるだろ」
馬鹿、変わるわけないじゃん。
そう刃向かっても無駄だということは、近づいてくる唇でわかる。
もう、一切触れたくないのに____
もう無理か、ぎゅっと目を瞑っていると、唇に感触があった。
黒尾「男の手に唇当てて、なんかいい事あるのかよ」
晴樹では無い、男の人の声に驚き目を開けると私の唇に触れているのは晴樹の唇ではなく、黒尾さんの手の甲。
そして、晴樹の唇が触れているのもは、黒尾さんの掌。
晴樹「んな…っ誰だよお前っ」
黒尾「………うちのマネージャーに手ぇ出したら…許さねぇ」
聞いたことの無い黒尾さんの低音ボイスに、晴樹はもちろん、私まで背筋がこおる。
晴樹がなにか言おうとすると、黒尾さんは毎回それを遮って晴樹を睨みつけるので、諦めた晴樹は部屋から出ていった。
黒尾「今の奴、誰だよ」
あなた「……えっと…昨日話した、私の、元カレ……です」
恐る恐る言うと、黒尾さんは「あのなぁ…」と頭をかいた。
元の声に戻り、少し安心しつつも黒尾さんの次の言葉を待つ。
黒尾「少しくらいは気をつけろよ。なんで自分を傷つけた奴部屋に入れてんだよ」
あなた「いや……その…力負けしちゃって…」
黒尾「叫ぶとか色々助け求める方法あっただろ…」
あなた「すみません…」
「早く寝ろよ」と言って出ていった黒尾さんを見送り、布団に入った。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。