あなたside
最悪……
何故かお兄ちゃんたちの分のご飯も作りながら、今日のよく分からない一日を振り返る。
確か、私は生理の貧血で倒れて…
保健室に運ばれたらしいんだけど私が目が覚めた時は資料室。そこに何時間か閉じ込められてて、宮城から私を連れて帰りにきた一くん達に助けてもらって……
ほぼ喧嘩だったけど何とか説得して溜息をつきながらもこの合宿のOKをもらった。
で、東京に今日泊まって帰るらしい…
みんなは今部屋に居て、食堂には私ひとり。
だからか周りの声や音がよく聞こえてくる。
?「申し訳ございません…今日は部屋がいっぱいでして…」
?「はあ?どういうことだよババア!俺はここを選んでやったんだよ!他のいい所よりも!」
?「ですがもう空き部屋が……」
?「俺は客なんだよ!てめぇらにとって金だぜ?」
うわぁ……
騒がしいなぁと思って覗いてみると30代くらいの男の人と女将さん。
”てめぇらにとって金だぜ?”
ほんっと頭にくる…
だっと駆け出し、女将さんの前に出る。
男「誰だお前?」
あなた「どうしてもここがいいんなら、私が知り合いのところの部屋に泊まるのでそちらを使ってください。」
そう、すっごい嫌だけど一応お兄ちゃんたちの部屋に泊まればいい。
男は舌打ちするとさっさと掃除しろ、と女将さんに言う。
あなた「あの…女将さんたちにとって、お客さんは”金”じゃないと思うんですけど?」
男「あ”ぁ?」
やば……めっちゃ睨みつけられた…怖い怖い
あなた「”金”なんかと思ってるんなら、きっとここは誰も来てません。」
男「あのな、俺は疲れてんだよ。お前みたいなガキに分かるわけねぇんだよ!」
夜久side┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
食堂に行くと作りかけのご飯が並んでいた。
あなたがいないので心配で探しに行くと、すぐに見つけた。
よく分からない悪そうな男と話している。
男「お前みたいなガキに分かるわけねぇんだよ!」
男はそう叫ぶと振りかぶってあなたを殴ろうとし、咄嗟に俺は男の腕を掴んだ。
結構ギリギリだったけど……
夜久「何があったかは知りませんが、暴力はいけませんよ?」
男は舌打ちすると、どいつもこいつも……とブツブツ言いながら去っていった。
夜久「ったく……お前ほんと危なっかしいな…」
あなた「すみません…」
話を聞くと、あなたはほんとに優しいんだな、と改めて感じた。
夜久「あのな、いくらなんでもああいう時は危ないからやめとけよ」
あなた「すみません…つい……」
夜久「体調は…?」
そう聞くと満面の笑みで答えてくれて安心した。
あなた「バッチリです!」
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。