あなたside
『…いつかはアタック始めるから、覚悟しといてね』
缶のココアを貰ったあの日、別れ際に松川くんに言われた言葉が心に引っかかる。
どういう意味があるのか___
「…ーい、あなたー?」
あなた「わっ、すみません!」
「ぼーっとしてんなよ〜」と笑う菅原さんにもう再度謝り、ミーティングをする皆の真ん中にいる烏養さんの方を向き直った。
___そうだ。
明日から、IH県予選。
烏養「今日は、早く帰ってよく休めよ!」
「はい!」という返事の後の澤村さんの「よし、じゃあこれで__」という言葉を、ああっちょっと待って。という武田先生の声が遮った。
武田「もうひとつ、いいかな?マネージャーの二人から」
不思議そうな顔をするみんなに、多少緊張しながらも「激励とか…そういうの、得意じゃないので……」という清水先輩の言葉の後、準備に走った。
バサッ
「「せーのっ」」という声の後、黒い布を体育館2階の手摺に被せる。
───飛べ───
そう書かれた、烏らしい黒の横断幕。
みんなから歓喜の声が上がった。
菅原「こんなのあったんだ…!」
清水「掃除してたら見つけたから、あなたちゃんに手伝ってもらって綺麗にした…」
が…と呟いた後の、「……頑張れ」という清子さんの言葉に、皆大袈裟すぎるほどに喜んでいた。
サプライズ大成功、?
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。