第6話

知る私。
110
2020/11/11 07:06
二人の間に少しの沈黙が流れる。




それを破ったのは私。
_有宮@ありみや_ _結々乃@ゆゆの_
有宮ありみや 結々乃ゆゆの
……紺野君
突然の私の呼びかけに驚いたのか、はたまた私から話しかけたことに驚いたのか少し目を見開いた。

でも、すぐいつもの落ち着いた表情に戻る。
_紺野@こんの_ _灯@とう_
紺野こんの とう
どうしたの、結々ちゃん?
_有宮@ありみや_ _結々乃@ゆゆの_
有宮ありみや 結々乃ゆゆの
なんで…私のこと『結々ちゃん』って呼ぶの?
_紺野@こんの_ _灯@とう_
紺野こんの とう
そっか……
彼は、少し俯いた。
_紺野@こんの_ _灯@とう_
紺野こんの とう
忘れたかな?俺のこと
_有宮@ありみや_ _結々乃@ゆゆの_
有宮ありみや 結々乃ゆゆの
_紺野@こんの_ _灯@とう_
紺野こんの とう
保科ほしな とう
_紺野@こんの_ _灯@とう_
紺野こんの とう
俺の前の名前。
夕日が沈んでいく頃。

私は衝撃の事実を知った。

そう。保科 灯は、私が大好きな人だった。
_有宮@ありみや_ _結々乃@ゆゆの_
有宮ありみや 結々乃ゆゆの
灯君…?
_紺野@こんの_ _灯@とう_
紺野こんの とう
そうだよ。小学校の頃はよく遊んでくれたよな
_有宮@ありみや_ _結々乃@ゆゆの_
有宮ありみや 結々乃ゆゆの
そっか……!
いつも、想っていた相手は、近くにいたんだ。

今、ここで気持ちを伝えようか…
_紺野@こんの_ _灯@とう_
紺野こんの とう
それと、
_有宮@ありみや_ _結々乃@ゆゆの_
有宮ありみや 結々乃ゆゆの
うん?
_紺野@こんの_ _灯@とう_
紺野こんの とう
倉科遥花。彼女は──いや、俺達は一族。
_紺野@こんの_ _灯@とう_
紺野こんの とう
倉科家の本家の次女が倉科遥花。分家の長男が俺。
_有宮@ありみや_ _結々乃@ゆゆの_
有宮ありみや 結々乃ゆゆの
え…
それから、私は灯君からいろんなことを聞いた。

遥花とは交代でその地域にいたんだと。

私が小学生のときは灯君。中学生のときは遥花。
高校で二人は同じクラスに。

そして、名前が変わった理由を。

──倉科家から破門された。
おかげで名字は母方の『紺野』になった。
_紺野@こんの_ _灯@とう_
紺野こんの とう
これが、俺が有宮結々乃を結々ちゃんと呼ぶ理由。
_有宮@ありみや_ _結々乃@ゆゆの_
有宮ありみや 結々乃ゆゆの
そっか、今までごめん…
_紺野@こんの_ _灯@とう_
紺野こんの とう
いいよいいよ、これからはもっと話そう?
好きな人からの申し出。
断るわけもなく、私は微笑みながら頷いた。
コンコン
先生
失礼しますね
_有宮@ありみや_ _結々乃@ゆゆの_
有宮ありみや 結々乃ゆゆの
はーい
先生
面会時間がもう終わりますので、有宮様はご両親がご到着するまでこちらに。
先生
お連れ様は、申し訳ありませんが、ご退出を願います。
_紺野@こんの_ _灯@とう_
紺野こんの とう
はい。わかりました。
先生
では、失礼します
_紺野@こんの_ _灯@とう_
紺野こんの とう
じゃあ、結々ちゃん、また明日。お大事に。
灯君が行っちゃう。
今、伝えるべきなのに…!
_有宮@ありみや_ _結々乃@ゆゆの_
有宮ありみや 結々乃ゆゆの
……灯君ッ!
私は勇気を振り絞りその名を呼ぶ。
_紺野@こんの_ _灯@とう_
紺野こんの とう
どうしたの?
きょとんと、灯君は首をかしげる。
_有宮@ありみや_ _結々乃@ゆゆの_
有宮ありみや 結々乃ゆゆの
わ、私……!
私の喉に詰まる、想い。言葉。

たった2文字、『好き』って言えたら。
たった2音、発せられたら。

でも、私の口が許さなかった。
_有宮@ありみや_ _結々乃@ゆゆの_
有宮ありみや 結々乃ゆゆの
ごめん。なんでもない…
_有宮@ありみや_ _結々乃@ゆゆの_
有宮ありみや 結々乃ゆゆの
また、明日。今日はありがとう。
_有宮@ありみや_ _結々乃@ゆゆの_
有宮ありみや 結々乃ゆゆの
帰り…気をつけてね
私は自嘲気味に手をふる。
_紺野@こんの_ _灯@とう_
紺野こんの とう
うん。ばいばい
対照的に灯君は、笑顔で手をふってくれた。





灯君が病室から出たあと、窓から外を見ていた。

冬の夜空は、星が綺麗に見える。
それは、空気が澄んでいるから。

今日は、三日月が綺麗に煌々と輝いていた。
私は、手をつなぎ願う。


勇気がほしい───────


と。








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