第11話

取り合う私。
81
2020/11/14 14:00
その日の朝から、私たちは争っていた……。

と、言いたいところだが、そんな素振りを見せることなく、現在3時間目の化学の実験中である。

今日の実験は、ホールピペット、メスフラスコ、ビュレット、コニカルビーカーを使った『中和滴定』という実験。

これがテストに出るというから、手順から何から何まで全てノートにとっている。

そして、私の班には秀才がいる。だから実験が失敗することはない。つまり、ノートが正しく取れるということだ。

ちなみに、この席順は名前順で、遥花と灯君は同じ班。
_有宮@ありみや_ _結々乃@ゆゆの_
有宮ありみや 結々乃ゆゆの
えっと……次は何するんだっけ?
_一条@いちじょう_ _恋々@ここ_
一条いちじょう 恋々ここ
次はね───
_有宮@ありみや_ _結々乃@ゆゆの_
有宮ありみや 結々乃ゆゆの
そうだったね、ありがと
_一条@いちじょう_ _恋々@ここ_
一条いちじょう 恋々ここ
どういたしまして
恋々ちゃんは、ニコッと笑った。



***

そして、私と遥花は争うことなく平和に放課後へ。

放課後からは、平和ではなくなるだろうけど…。
_二ツ葉@ふたつば_ _満儚@みくら_
二ツ葉ふたつば 満儚みくら
結々乃、帰ろ?
_有宮@ありみや_ _結々乃@ゆゆの_
有宮ありみや 結々乃ゆゆの
ごめんっ!
_有宮@ありみや_ _結々乃@ゆゆの_
有宮ありみや 結々乃ゆゆの
今日は用事があるから、先帰っててー
_二ツ葉@ふたつば_ _満儚@みくら_
二ツ葉ふたつば 満儚みくら
はーい!
_二ツ葉@ふたつば_ _満儚@みくら_
二ツ葉ふたつば 満儚みくら
恋々!一緒に帰ろー
_一条@いちじょう_ _恋々@ここ_
一条いちじょう 恋々ここ
おっけー
_二ツ葉@ふたつば_ _満儚@みくら_
二ツ葉ふたつば 満儚みくら
ばいばーい!結々乃!
_二ツ葉@ふたつば_ _満儚@みくら_
二ツ葉ふたつば 満儚みくら
頑張ってー!
満儚は最後に意味深な言葉をつけて帰っていった。
知ってるのか。
私は、苦笑する。

応援してくれてる従姉妹にちゃんと返してあげようと思う。
_倉科@くらしな_ _遥花@はるか_
倉科くらしな 遥花はるか
結々乃ちゃん?教室ここでいいかな?
_有宮@ありみや_ _結々乃@ゆゆの_
有宮ありみや 結々乃ゆゆの
うん。いいよ
そして、15分もするとみんな教室からいなくなっていた。

この修羅場を目撃するのは、私と遥花と灯君。



さぁ、幕開けだ。
_倉科@くらしな_ _遥花@はるか_
倉科くらしな 遥花はるか
返事…決まったかな?
_有宮@ありみや_ _結々乃@ゆゆの_
有宮ありみや 結々乃ゆゆの
…どう?
_紺野@こんの_ _灯@とう_
紺野こんの とう
俺は……
_紺野@こんの_ _灯@とう_
紺野こんの とう
結々ちゃんがいい
_紺野@こんの_ _灯@とう_
紺野こんの とう
お願いします!
灯君は頭を下げた。
_有宮@ありみや_ _結々乃@ゆゆの_
有宮ありみや 結々乃ゆゆの
こちらこそ!
私は普段自分でも出さない嬉しそうな表情をしていたと思う。

そして、灯君は頭を上げ遥花を見据えた。
_紺野@こんの_ _灯@とう_
紺野こんの とう
……遥花が告白してくれたのも嬉しかった。
灯君は真剣な目で遥花に伝える。
_紺野@こんの_ _灯@とう_
紺野こんの とう
でも、結々ちゃんは、守ってあげたい存在なんだ。俺の中で。
_紺野@こんの_ _灯@とう_
紺野こんの とう
それに結々ちゃんは、俺の初恋。
_紺野@こんの_ _灯@とう_
紺野こんの とう
でも、決して遥花を守りたくないとかは思ってないからな?
_紺野@こんの_ _灯@とう_
紺野こんの とう
昔から一緒にいるんだから……
_紺野@こんの_ _灯@とう_
紺野こんの とう
遥花は、俺が守らなくても大丈夫だから。
_紺野@こんの_ _灯@とう_
紺野こんの とう
俺は知ってる。俺よりももっといい人が遥花にはできるから
_紺野@こんの_ _灯@とう_
紺野こんの とう
遥花のそのなら、大丈夫だから
遥花は、瞳を暗くした。

そう、闇が垣間見えたのだ。
_倉科@くらしな_ _遥花@はるか_
倉科くらしな 遥花はるか
ねぇ…
_倉科@くらしな_ _遥花@はるか_
倉科くらしな 遥花はるか
灯は、これ聞いてもまだ結々ちゃんと付き合うって思えるの…?
_倉科@くらしな_ _遥花@はるか_
倉科くらしな 遥花はるか
私…頑張ってたんだよ……
遥花は、悲しそうに灯君を見つめる。
_紺野@こんの_ _灯@とう_
紺野こんの とう
え…?
_倉科@くらしな_ _遥花@はるか_
倉科くらしな 遥花はるか
まぁ…焦らないで
遥花は、爆弾を落とすように語り始めた。

それは、私が墓場まで持っていこうと思っていた、"知られたくない"ストーリーだった。










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