第10話

書く私。
89
2020/11/14 06:57
ときは、放課後。



みんな、部活に行ったり、家に帰ったりと。
教室に残ったのは、私と灯君だけ。


_紺野@こんの_ _灯@とう_
紺野こんの とう
それで?どこがわからない?
灯君は、私に英語を教える気でいる。
まぁ、私から誘ったんだから当たり前なのだが。
_有宮@ありみや_ _結々乃@ゆゆの_
有宮ありみや 結々乃ゆゆの
えっと、教科書のLesson5のPart3なんだけど…
_有宮@ありみや_ _結々乃@ゆゆの_
有宮ありみや 結々乃ゆゆの
ここで、サラが言ってるこの英文が訳しにくくって…
_紺野@こんの_ _灯@とう_
紺野こんの とう
あぁ、ここは─────。
私はノートに灯君が教えてくれたことを書き留める。



そろそろ、言わないと。
長引かせるべきじゃない。そう思ってるのに。
伝えられない。この気持ち。

_有宮@ありみや_ _結々乃@ゆゆの_
有宮ありみや 結々乃ゆゆの
……ぁ
_紺野@こんの_ _灯@とう_
紺野こんの とう
ん?どうした?
_有宮@ありみや_ _結々乃@ゆゆの_
有宮ありみや 結々乃ゆゆの
あ、いや、なんでもないよ
私は笑顔で誤魔化す。

思いついた。名案だ。
_有宮@ありみや_ _結々乃@ゆゆの_
有宮ありみや 結々乃ゆゆの
ねぇ、じゃあこれは?
私は、ノートに英文を書き込んだ。

『I love you.』

勇気を出してノートに書いたこの3単語。
Part3にはこんな文章は出てこない。もちろん、こんなニュアンスの文章も。


しばらく、私は灯君の顔を見れず、少しうつむき加減になっていた。


この静かな教室には外からの運動部の掛け声と、校舎内からの吹奏楽部の音色が空間を支配する。


何秒、いや、或いは何分か経った頃。

_紺野@こんの_ _灯@とう_
紺野こんの とう
え、私はあなたが好き…?
_有宮@ありみや_ _結々乃@ゆゆの_
有宮ありみや 結々乃ゆゆの
うん、
_有宮@ありみや_ _結々乃@ゆゆの_
有宮ありみや 結々乃ゆゆの
……言わせないでよ
できれば、最初の肯定でわかってほしい。

私の2単語目が聞こえたのかどうかはわからないけど…

せめてと、じっと灯君の目を見る。
_紺野@こんの_ _灯@とう_
紺野こんの とう
………!
_有宮@ありみや_ _結々乃@ゆゆの_
有宮ありみや 結々乃ゆゆの
ね、ねぇ
_有宮@ありみや_ _結々乃@ゆゆの_
有宮ありみや 結々乃ゆゆの
わかった?
_有宮@ありみや_ _結々乃@ゆゆの_
有宮ありみや 結々乃ゆゆの
この文章の答えは…?
ガラッ
_有宮@ありみや_ _結々乃@ゆゆの_
有宮ありみや 結々乃ゆゆの
えっ…?
そこには、資料を持って走ってきたと思われる、遥花がいた。
_倉科@くらしな_ _遥花@はるか_
倉科くらしな 遥花はるか
まだ、残ってたんだ?
明らかに、遥花は怪訝そうに聞いた。
_有宮@ありみや_ _結々乃@ゆゆの_
有宮ありみや 結々乃ゆゆの
う、うん
_紺野@こんの_ _灯@とう_
紺野こんの とう
結々ちゃんに英語、教えてたんだ。
_倉科@くらしな_ _遥花@はるか_
倉科くらしな 遥花はるか
結々乃ちゃん、英語できるのに?
_紺野@こんの_ _灯@とう_
紺野こんの とう
え、そうだった?
灯君の表情に戸惑いが現れた。
_倉科@くらしな_ _遥花@はるか_
倉科くらしな 遥花はるか
ねぇ、それより灯君。
_倉科@くらしな_ _遥花@はるか_
倉科くらしな 遥花はるか
返事は……?
_紺野@こんの_ _灯@とう_
紺野こんの とう
えっと……
あぁ、これがいわゆる三角関係か。

それに、本当に遥花は、灯君に告白してたんだ…
_有宮@ありみや_ _結々乃@ゆゆの_
有宮ありみや 結々乃ゆゆの
ねぇ
_有宮@ありみや_ _結々乃@ゆゆの_
有宮ありみや 結々乃ゆゆの
遥花。
_倉科@くらしな_ _遥花@はるか_
倉科くらしな 遥花はるか
…なに?
_有宮@ありみや_ _結々乃@ゆゆの_
有宮ありみや 結々乃ゆゆの
遥花も灯君のこと好きなんでしょ?
あれよあれよと、私の口から言葉が紡がれる。
_倉科@くらしな_ _遥花@はるか_
倉科くらしな 遥花はるか
そうだけど?それが?
_有宮@ありみや_ _結々乃@ゆゆの_
有宮ありみや 結々乃ゆゆの
ねぇ、灯君を譲ってくれない?
_倉科@くらしな_ _遥花@はるか_
倉科くらしな 遥花はるか
え……
_倉科@くらしな_ _遥花@はるか_
倉科くらしな 遥花はるか
私こそ、灯を譲ってほしいな
遥花はにっこりと笑った。



───二人は挑戦的な笑みを浮かべているだろう。
自分の意思を通そうと。
_倉科@くらしな_ _遥花@はるか_
倉科くらしな 遥花はるか
でも、今は私ちょっと忙しいからまた明日の放課後!
遥花は、自分の机の中からプリントを取り出した。
_倉科@くらしな_ _遥花@はるか_
倉科くらしな 遥花はるか
灯も来てよ!
_紺野@こんの_ _灯@とう_
紺野こんの とう
うん
灯君は迷うことなく頷いた。

私は、彼がきっとどちらかを選んでくれると信じている。










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