友達特有のノリで迎え入れつつ、冷や汗。
それこそ、ラギーさんは犬の姿のはずなのに学校で少し渋った理由からだった。
一番の懸念。
…毛。
そう、毛。
決してラギーさんが悪いわけではないのだが、ライのものでも、私のものでもない毛__ラギーさんの髪の毛が、ベッドとかにあったりする。
ライのものとは言えないくらいに長く、かといって私より短い上、全く色が違う。
他にも、公式そっくりな靴とか、二本の歯ブラシとか。
まるで同棲カップルのような懸念点に冷や汗を流しつつ、リビングへ誘導する。
洗面台、通過。
おーよしよし、とわしゃわしゃされる彼。
静かに冷ややかな視線を向けられたことに対しては軽く黙殺する。
危ない…っ…
その拍子に、ケージの中に逃げるラギー…じゃなくて、ライ。
これらは、心の中でもあの姿の時はライって呼ぼう。
万一の時、困ることになり得ない…
私はいい具合に話を逸らし、他愛のない雑談に花を咲かせたのだった。
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驚いて、思わず声が出てしまった。
ゴシュジンとその友人らしき人が話しているのは、自分の学校の話。
ジェイド、エースなどといった聞き馴染みのある名前も出てきた。
オレは魔法のない世界に飛んできたのに、彼らのことを知る人が居るはずもない。
まさか、“あの子”の記憶が戻って…?
いや、そんなことはあり得ない。
ゴシュジンが観ているテレビでは“マジフト”とか“ヴィル・シェーンハイト”なんて名前が上がっているのを見たことすらないから。
ましてや知らない国名や地名が並ぶ報道。
ここは、ツイステッドワンダーランドではなくて、“チキュウ”と呼ばれる大きな星。
不思議でならなかった。
問い詰めてやろう。
瞼が落ちる感覚に身を委ねながら、そんなことを思った。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。