いきなり声をかけられて、悲鳴をあげた後、パッと振り向く。
家庭科室の入口に、1人の男の子が立っていた。
誰? 夕方で薄暗いからか、よく見えないんだけど。
すごく背の高い人だ。
同じ1年生かな?
そうききながら、スタスタと家庭科室に入ってくる。
抱っこしているジミンを指した。
大声をあげるあたしの隣に、彼がジミンを興味深そうな顔で見ながら、腰を下ろした。
うわ⋯⋯。
隣に座った男の子は⋯⋯いとことで言うと、すごくイケメン。
夕日で、髪の毛がちょっとオレンジ色に染まっているんだけど⋯⋯それを抜きにしても、髪の毛の色素が薄い。
キリッとした眉に、二重の目。
筋が通ってる高い鼻。
肌とか赤ちゃんみたいにキレイだし⋯⋯顔も小さい。
座ってても、スタイルいいのがわかる。
だって、足が長いんだもん。
久々に、人間でキレイな人にあったな。
妖怪とか神様の中には、言葉に出来ないくらいキレイな子たちがいるから、イケメンは見慣れてる方なんだけどね。
彼は、あたしが見てきた人間の中では、かなりキレイな人。
これだけ整った顔立ちをしてるんだから、さぞかしモテるんだろうな。
でも、まさかあたしの他に、この学校内で妖怪が見える人がいたなんて⋯⋯。
驚きすぎて、ポカーンと口を開けてしまう。
あたし、今、絶対マヌケな顔してる。
まぁ、元から、マヌケな顔だけど。
あたしは首をタテにふった。
ウソ⋯⋯。
全部見られてた。
男の子は、挑発的な目をして聞いてくる。
背中が冷たい汗が流れ落ちた。
━━━━━ギクリッ
長状してたのも、バレちゃってる⋯⋯。
あたしはポツリポツリと話した。
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編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!