━━━━━━ガーン!
ニヤッとヤツの口角が上がった
自分の失態に落ち込む。
確かに"秘密にする"なんて約束もしてないのに、べらべらと喋っちゃったよ。
でも、口止めはしなきゃ!
あたしはもう一度頼んでみる。
普通、妖怪や霊がいるなんて人間は信じてないもん。
見えなくても、その存在がバレたらパニックになっちゃう。
それに⋯⋯ただでさえ地味のあたしが"陰陽師"なんて言った日には⋯⋯イジメ確定ですよね?
⋯⋯ほんとに分かってくれたの? ちょっと不安。
ヤツに疑いの眼差しを向ける。
すると。
今まで黙っていたジミンが口をはさんだ。
あ、そうだ。
ジミンいたんだった。ちょっと存在忘れてた⋯⋯
ごめん。
奴がジミンに話しかける。
ニコニコ嬉しそうに言った。
ヤツがジミンの話にうなずく。
あたしの言葉を、ヤツが繰り返す。
ヤツは、あたしに向かって柔らかく笑った。
こんなふうに笑えるんだ。
なんか⋯⋯企んだような笑みしかできないのかと思ってた。
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編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。