第10話

1,116
2020/11/08 08:45
??
ふ〜ん、陰陽師ねぇ⋯⋯
U
お願いだから誰にも言わないでよ
??
⋯⋯いや、バラす
U
はいっ? バラさないって言ったじゃん!
??
俺、バラさないとか、なんも約束してねぇよ?



━━━━━━ガーン!


??
あんたが勝手に喋っただけだよな?



ニヤッとヤツの口角が上がった


U
おっしゃる通りです



自分の失態に落ち込む。


確かに"秘密にする"なんて約束もしてないのに、べらべらと喋っちゃったよ。


でも、口止めはしなきゃ!


U
絶対に、誰にも喋らないでよっ!



あたしはもう一度頼んでみる。


??
なんで隠すんだよ?
U
バレたら大変だから



普通、妖怪や霊がいるなんて人間は信じてないもん。


見えなくても、その存在がバレたらパニックになっちゃう。


それに⋯⋯ただでさえ地味のあたしが"陰陽師"なんて言った日には⋯⋯イジメ確定ですよね?


??
ふ〜ん、わかった



⋯⋯ほんとに分かってくれたの? ちょっと不安。


ヤツに疑いの眼差しを向ける。


すると。


ジミン
ジミン
あなたちゃん、僕、喋ってもいい?



今まで黙っていたジミンが口をはさんだ。


あ、そうだ。


ジミンいたんだった。ちょっと存在忘れてた⋯⋯


ごめん。


??
おいチビ、名前、なんて言うんだ?



奴がジミンに話しかける。


ジミン
ジミン
ジミンだよ
??
ジミン?
ジミン
ジミン
うん! あなたちゃんがつけてくれたんだ!



ニコニコ嬉しそうに言った。


??
そんなに嬉しいのか?
ジミン
ジミン
もちろんっ! 妖にとって名前を貰えるのは、命を貰えることと同じくらい宝物なんだよ!
??
へぇー



ヤツがジミンの話にうなずく。


U
名前はね、1番短いしゅなんだよ



あたしの言葉を、ヤツが繰り返す。


??
呪?
U
呪っていうのは、願掛けりこうなって欲しいっていう願いがこめられてるんだ。
U
その中でも1番短いのが名前
??
じゃあ⋯⋯妖怪だけじゃなくって、人間の名前も呪ってことか?
U
もちろん、生きてるもの全て。その名前を何回も呼ぶことで、名前通りの人物になっていくんだよ
??
⋯⋯いいこと聞いたな



ヤツは、あたしに向かって柔らかく笑った。


こんなふうに笑えるんだ。


なんか⋯⋯企んだような笑みしかできないのかと思ってた。





















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