4人そろっての夕食。
和やかにテレビを見ながら⋯⋯ってわけには、ユン家の場合、いかないんです。
席に着くなり、じいちゃんがニヤニヤしながら言ってきた。
じいちゃんには、言わなくても様々なことがバレる。
千里眼の持ち主だから、なんでもお見通し。
ちなみに、千里眼ってのは、目の前で起きてないことが見えたり、未来が見えたりする力。
予知能力、みたいなものかな。
そんなんだから、小さい頃から悪いことは出来なかった。
あたしはため息をつく。
笑いながらご飯を食べてる。
あたしが陰陽師であるように、家族も陰陽師だ。
うちでは、じいちゃんが長。お父さんがその次で、一番下にあたし。
お母さんは妖を見ることはできるんだけど、霊力はない。
うちの家系⋯⋯一族って言うのかな?
ユン一族は全国に住んでいて、正月と盆にはいっせいに集まるんだ。
あたしはお父さんに向かって反論する。
どうせ、あたしはブサイクですよーだ。
あれ⋯⋯?
みんな、黙っちゃった。
不思議に思って聞く。
何故か、悩むように手を顎にあててるお父さん。
お母さんはの一言で、また食べ始める。
3人の態度が気になったけど、それからは何も言われなかったので、何となくそのまんまにしてしまった。
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編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!