あなたside
((ガラガラッ
おいかわさんが先頭となってドアを開けるそして後ろから私と一がついていく。
完全に城西グループの教室へと入りきり、一がドアを閉めた。
「おー岩泉帰ってきたかー」
「おかえりー」
岩「おう、ただいま」
おいかわ「ねえ、待って!?俺は!?」
おいかわさんと一の姿が見えた瞬間、回りの人たちはおいかわさんを無視して一だけに話しかける。
それにすこし凹むおいかわさん。
『…』
…私は男子に比べたら身長は低い方だ。
だから今も回りからはおいかわさんがいて私の姿は見えていないだろう。
登場するタイミングを完璧に失い、1人で戸惑っていると、「ああ、そうだ」と一が言葉を発した
岩「お前らに紹介したいやつがいるんだ」
一は“前に出てこい”とでも言いたそうな顔で私の顔を見チラリと見た
『(タイミング作ってくれたんだ…)』
そう一に感謝しながら一歩前に出る
すると私の目の前にはピンク色の髪の毛の人もいればらっきょ頭の人もいたりして、猫といい勝負ができるんじゃないかというぐらい個性溢れているグループだった
岩「ほら、自己紹介」
一にそう言われ、なにも考えていなかった自己紹介をすることになり、慌てて頭のなかで文を作る
『え、えっと…神崎あなたです。…一との関係は幼馴染みです…?』
最後が疑問系になったのはスルーしてほしい。
そう自己紹介を終えるとぽんぽん、と頭を誰かに撫でられる
『…』
見なくてもわかる。
岩「よくできました」
私の頭をぽんぽんするのは一しかいないじゃん?
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。