あなたside
リエーフが気絶したことにより、3対1となった。
1人いなくなったとはいえど、不利な状況なのには変わりない。
『(次は誰から行こうか…)』
多分、この中で一番頭が冴えるのは研磨さんだと思う。
彼を先に気絶させちゃえばちょっとは楽になるだろうか?
研磨さんはさっきからすごい私を観察しているようで。
『(厄介な人だな...)』
あの目で見られるとなんか怖い
リーダーである黒尾さんはきっと一番強いのだろう。
雰囲気がもうそのもの、なんだよね、面倒だなー
夜久さんは後ろで援助している、という感じだ
ぐだぐだ悩んでも仕方ないな、やるしかないんだし。
『(次は、研磨さん…っ)』
私は真正面から研磨さんに行くのではなく、最初は夜久さんの方へと走っていった。
夜「な…!?」
きっと私は真正面から研磨さんに行くと思ったのだろう。
予想外のことが起こったようで夜久さんは混乱しているようだ。
…だけどこれも想定内のこと。
もっと混乱させて、集中切らせてやる
真正面から研磨さんの所へ行けば黒尾さんに隙をつかれ、私が体制を崩したところで夜久さんか、研磨さんがくるだろう。
…まあ、あくまでも私の予想だけど。
夜久「そんな簡単にやられてたまるかってんだ、よッ!」
『…!』
さすが3年生、というところか。
夜久さんは喧嘩慣れしているようで状況判断もとても早い。
咄嗟(とっさ)に体制を整え、私に蹴りを入れてきた。
もろ直撃してたら私吹っ飛んでたなこれ
ギリギリでなんとか避けられたが、今度は私が体制を崩してしまった。
『(やばい…!)』
と、頭では思うものの、体は思うように動かない
黒尾「チャーンス♪」
その隙を狙ってか、黒尾さんは私のお腹にグーパンチをいれた。
『!!…がはっ、げほ、ごほッ』
さすが3年生男子の力と言うわけだ。
黒尾さんはきっ私を殴るのに半分の力も入れていないだろう。
それなのに私はものすごいダメージを受けた。
あ¨ーーーー、意識がやばいなこれ、
持ちこたえろ、私
黒尾「おー?俺のパンチに絶えられる女子なんていたんだなあ」
"関心関心"と言いながら黒尾さんは高らかに笑った。
『…ちっ』
立っているので精一杯だ。
気を抜けば私はやられてしまう。
『(ここでやられるわけには行かない…)』
私は深呼吸をして息を整え、周りを見渡した。
夜久さんと研磨さんも黒尾さんも完璧私の行動を観察しているように見える。
3人に見つめられちゃ、困ったもんだ。
…だけど今はそんなこと言ってられない。
私は一刻でも早くこの"ゲーム"を終わらせたいのだ。
『…』
今度は真正面から研磨さんに行ってみようか。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!