あなたside
リ「はい!ついたよ!!」
リエーフに(無理矢理)連れて来られたのは空き教室だった。
見た目は、そこら辺にある教室なんかよりもずっと綺麗で。
『(ここだけ雰囲気が違う…?)』
なんだろう。入ってはいけない気がする。
…入ってしまったら、私の今までの生活終わってしまいそうで。
『…』
どうしても入りたくなかった。
_だけどそれを彼が許してくれるわけない。
きっと入るのを拒めば、大変なことになってしまう。
…直感でそう感じた。
ガラガラッ
リ「黒尾さあーーん!!!」
『あ。』
リエーフがドアを開け、1人で中に入って行ってしまった。
『…』
ぽつん、と1人残された私。
『どうすればいいのよ、私…(ボソッ』
いっそのこと、このまま帰ってしまおうか。
リエーフとは学年が違うし、教えたのは"2年"ということだけで、クラスは教えていない。
『…』
逃げるなら、今だ。
チャンスは今しかない。
そう思い、逃げようとした瞬間。
リ「あなたさーん!入ってきていいよー!」
『…』
教室の中からリエーフが私の名前を叫ぶのが聞こえた。
教室の中はガヤガヤしていて、リエーフ以外にも人がいるんだとわかる。
…まあ、リエーフが「くろおさん」と叫んでいた時点で人がいることはわかりきっていたけども。
ああ、どうしよう。
___ とても入りたくない。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!