第63話

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2022/11/04 01:02
岩泉side



及「…えっ?…え?…うん!?」


岩「…んだよ」



俺が「横抱き」と答えた瞬間、及川がさらにおかしくなった


岩「(情緒不安定なやつだな…)」



普通に答えただけなのに、なぜそんな戸惑う必要があるのか。
俺にはわからない


とりあえずこれ以上及川と絡んでいてもただの時間の無駄だと感じた俺は及川を無視して青城グループへと足を進める






後ろで「え!?ちょ…っ、待ってよ!岩ちゃ…っ、ぎゃっ」などと聞こえるが無視する


最後の「ぎゃっ」とは一体。

岩「(…まあきっと転んだんだろうな)」



後ろを振りかえらず、勝手に頭の中で想像する。



岩「(…それにしても)」


…こんなうるさい中、ずっと寝ていられるあなたすげーな


隣(後ろ)で及川がキャンキャン言ってるのにも関わらず、あなたは気持ち良さそうに寝ている


岩「(寝顔は…変わってねえんだな)」



俺は、あなたの寝顔を見ながら小さく笑った












あなたside



『……っ?』



岩「お、起きたか」







…えっ?




『…??』


目の前の光景にぽかん、と口を開けることしかできない私。



……私は微かに揺れながら寝ていることに気付き、目が覚めた。



目が覚めるとそこは教室ではなく廊下。


しかも目の前には一の顔がある。


『え?…え?』



まるで動揺を隠せていない私を見て、一はクスリと小さく笑った



『…っ』



それがなんだか恥ずかしくて一に顔を見られないよう顔を伏せた


すると一は私の気もしらず、頭をポンポンする。



『~~!!』



いろいろと限界が近づいてきた時、ふと後ろから「待ってよ~!岩ちゃ~ん!」と声が聞こえた


それは振り向かずともわかる声で、ああおいかわさんだな、とすぐにわかった



それは一も同じようで、一も後ろを向かず、「おめーが遅いんだよ」と言葉を口にする


そうするとやはり「えー!岩ちゃんひどい!!!」と返事が返ってきて、タタタッと後ろから走ってくる音が聞こえた



『(走るほどの距離って…。おいかわさんどれだけ後ろにいたんだ…)』





おいかわ「はぁ…っ、はぁ…は、早いってば…っ、岩ちゃ……ん?」





………なんて考えているうちにおいかわさんは私たちのすぐ後ろまで来ていた









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