第42話

〜影山飛雄〜【いじわる】
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2022/07/04 22:06
あなた「ばーか♡」
好きな人にいじわるをしたくなってしまう、というのはよく言ったものだ。

影山「あぁ?!」
小学生男子がやりそうなことを私は高校生になってやっている。
あなた「飛雄くんってば、三次方程式も解けないの?ばかじゃん!」

影山「うっせ!バレーに必要ねぇことはやんなくていいんだよ!」
ぴらぴらと今日配られた問題プリントを飛雄くんの前で揺らすと明らかに機嫌が悪そうにそのプリントを奪われる。
影山「そういうお前は出来んのかよ。」

あなた「当たり前でしょ、てかこんな初歩の問題でわかんなくなってたらこれから先無理じゃん」
にこにこと笑いながら全問赤ペンで丸をされたプリントを目の前につきだす。
あなた「ね、おバカさん♡」

影山「月島より性格悪ぃ。」
ケッ。という顔をされたので「事実を言ったまでだよ」と言えばさらに機嫌を悪くして「部活行くから。」と足早に教室を去っていった。







あなた「あー!!!もーーー!!」


ぐしゃぐしゃに丸めた三次方程式のプリントを投げ捨て頭を掻き毟る。
あなた「今日こそは素直になるって朝言ったじゃん!!!嫌味言わないって言ったじゃん!!!」
誰もいなくなった教室で大声で反省会を進める。

飛雄くんが好きすぎるが故に普通に話そうとすると緊張しちゃうので煽るようなことを言って普通に話すようにしている。
それをやめようと今日を含め何回思ったことか、、、
いざ普通に話そうとしても言葉は詰まるばかりで結局出るのは嫌味と嘲笑だけ。
あなた「好きって言えるような素直でかわいい女の子になりたかったぁぁああああ!!!」
バンバン!!!と自分の机を叩いて少し落ち着いたところで投げ捨てたプリントを拾う。
ホチキスで泊めた二枚目のプリントには自分史上1番わかりやすく、丁寧にまとめた解答、解説が書かれている。

あなた「…明日こそ、、」
ぽつりと呟いて帰る支度をしようと丸めたプリントを綺麗に広げようとした時にドアがガラッ!と開いた。

影山「へー、、俺のこと好きなの?」

あなた「ばっ!!!は?!」
バカ!そんなわけないでしょ!はー、これだからアホは。
と言おうとしたのにすべての言葉が詰まってしまった。
あなた「ちが、、、」

影山「好きな人だからいじめてたわけだ。」
勝ちを確信した時のようなとても生き生きとした笑顔を浮かべ私に近づいてくる。
あなた「自意識過剰!てかなんでここに居るんだし!部活いけよサボり魔!!」
頭がぐるぐるしていつもよりも言葉にキレがなくなる。
影山「スクイズ取りに来ただけだけど?」
はっ。と鼻で笑われて一気に顔が赤くなる。


あなた「あー、そうですよ!!!飛雄くんのことが好きですけど?!?!文句ある!???!」
もうどうにでもなれと半ばやけくそになって大声で言えば今度は飛雄くんが顔を赤く染めた。
あなた「か、覚悟しときなよ!絶対好きにさせるし!!!」




恋路は''まだ''上手くいかないみたいです

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