前の話
一覧へ
次の話

第7話

〜番外編〜少年は過去を引きずる
157
2019/04/08 05:37
これは、4年だったか5年前の記憶。




ずっと、孤独だった。




ずっと1人だと思ってた……


あの日が来るまで……


誰も近寄らない……

誰も話掛けない……

何故なら俺は……






神崎 明桜衣
犯罪者の息子だから………
不思議な夢を見た。

とても不思議な夢

まるで、俺が望んだ世界が具現したかのような…@


目の前に男がいる。
年齢は恐らく俺と同じだ。
???
ねぇ、君は× × × が欲しいんでしょ?
聞き取れない。

何故かそこだけノイズがかかったような感じ……
???
欲しいなら、あげるよ!

ねっ?
重要な部分が聞き取れなかったせいで
まるで話を理解できない。
???
じゃあ、またね!

あの場所で待ってるから

来てねっ!
神崎 明桜衣
あっ…………
神崎 明桜衣
お前、名前は…………
気が付くと、俺は夢から醒めて、布団の中にいた。


何故だろうか……

目の辺りが熱い……
神崎 明桜衣
あれ……?
神崎 明桜衣
なんで……俺……泣いて……
神崎 明桜衣
!?
神崎 明桜衣
やっべっ!!
遅刻する!!!!!
時計を見ると、出席確認の時刻まであと十数分だった.
走る。 駆ける。
夢のことなどすっかり忘れて。
────────────────────────────────────────────────
神崎 明桜衣
間に合っ……た?
担任
遅刻だ、バーロー
神崎 明桜衣
あっはい(  ˙-˙  )
声が聞こえる。
みんな、口を揃えて……
これだからあいつは駄目なんだよw

やっぱり犯罪者の息子だしw出来損ないでしょw
悔しい
悲しい
寂しい
苦しい
いっそのこと消えてしまいたいくらい……
神崎 明桜衣
(そうだ……消えればいいんだ……)
─────────昼休み────────
神崎 明桜衣
ここから真っ直ぐ頭から落ちれば……
俺は笑っていた
しかしそれと同時に泣いていた








そして、その時は来た。
???
ねぇ、だからあげるって言ったでしょ?
声が聞こえた。
耳で聞いたのではない。

脳内に直接……思い出すような……
神崎 明桜衣
うっ……………
直後、激しい頭痛が俺を襲った。
神崎 明桜衣
ここ……は?
気がつくと、俺は保健室のベッドで寝ていた。
どうやら、今日転校してきた奴が保健室まで
抱えて来てくれたらしい。
???
ね!大丈夫?!
神崎 明桜衣
うわあああああああああああぁぁぁ!?
???
うわあああああああああああぁぁぁ!?
神崎 明桜衣
ビックリした……
???
こっちのセリフだよw
神崎 明桜衣
お前、誰?
???
いきなりだね((( ;゚Д゚)))
僕の名前は、神木 月、
今日、転校してきたんだw
神崎 明桜衣
お前だったのか……

まぁありがと……
神崎 明桜衣
でも大丈夫なんか?俺と関わってると
クラスの奴らに嫌われていじめられるぞ?
神木 月
だって、お前、なんか面白そうだし。
なんか1人にして置けないって言うかw
神崎 明桜衣
なんだよそれ………
いじめっ子
A:おい、あいつ、犯罪者と一緒にいるぞw
B:おっかねぇ〜w
C:殺される前に殺ろうぜw
神崎 明桜衣
!?
神崎 明桜衣
隠れてろ!
神木 月
うっす
いじめっ子
逃がさねぇぞw
神崎 明桜衣
行かせねぇよ?w
ドンッ!!!
1人目
ガスッ!!!!
2人目
……………
神崎 明桜衣
あれ?
神崎 明桜衣
もう1人……
神崎 明桜衣
っ!?
バンッ!!!!!
音がした。
何かが高い所から地面に落ちたような音……
その時、俺は目の前の現実を受け入れられなかった。
神崎 明桜衣
おい……
神崎 明桜衣
何……寝てんだよ……ッ!!!!!!
俺は完全に我を忘れていた。
いじめっ子
待て、落とす気は無かったんだ!!!!
神崎 明桜衣
黙れッ!!!!
神崎 明桜衣
殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す
いじめっ子
ヒッ!!
神崎 明桜衣
死ねええええぇぇえ!!!!!!
             笑っていた。
少年は ──────
泣いていた。
狂気に染まり、己を忘れ、自分を捨て、

ただただ、悲しかった

寂しくなった

己を恨んだ

自分を呪った

憎い……

すべて憎い

この世を殺し、呪い、憎み、全てを
消したいくらいに

ほんの一瞬の人の温もりを思いやり


奪われた………

そんな今、俺に何が残る?

何も無い………
何も……


─────────神木が死んだ──────
神崎 明桜衣
ふふっ、はははっ、あははははっ!!!
神崎 明桜衣
やっぱり救いの手なんて無かったんだ……
その時、俺は俺の全てを悟った。
俺は誰にも理解できないと。
永遠に孤独なのだと………
神崎 明桜衣
はァー
神崎 明桜衣
うぅっ……
もう自分でも、泣きたいのか
笑いたいのか分からなかった
─────────────────────────
幸い、俺が突き落としたいじめっ子は死ななかった

俺は、その後、警察や児童相談所、精神病院、色んな所を転々としていた。
一年後
神崎 明桜衣
あー、だっる
俺は完全に、グレていた。








今、気になるのは、あの時あの夢で聞き取れなかったあの言葉……













これが少年の過去、救いようのない、絶望的な

過去の時間。




そして、次の騒動から少年は、生きる目的を持つことになる……

プリ小説オーディオドラマ