これは、4年だったか5年前の記憶。
ずっと、孤独だった。
ずっと1人だと思ってた……
あの日が来るまで……
誰も近寄らない……
誰も話掛けない……
何故なら俺は……
不思議な夢を見た。
とても不思議な夢
まるで、俺が望んだ世界が具現したかのような…@
目の前に男がいる。
年齢は恐らく俺と同じだ。
聞き取れない。
何故かそこだけノイズがかかったような感じ……
重要な部分が聞き取れなかったせいで
まるで話を理解できない。
気が付くと、俺は夢から醒めて、布団の中にいた。
何故だろうか……
目の辺りが熱い……
時計を見ると、出席確認の時刻まであと十数分だった.
走る。 駆ける。
夢のことなどすっかり忘れて。
────────────────────────────────────────────────
声が聞こえる。
みんな、口を揃えて……
これだからあいつは駄目なんだよw
やっぱり犯罪者の息子だしw出来損ないでしょw
悔しい
悲しい
寂しい
苦しい
いっそのこと消えてしまいたいくらい……
─────────昼休み────────
俺は笑っていた
しかしそれと同時に泣いていた
そして、その時は来た。
声が聞こえた。
耳で聞いたのではない。
脳内に直接……思い出すような……
直後、激しい頭痛が俺を襲った。
気がつくと、俺は保健室のベッドで寝ていた。
どうやら、今日転校してきた奴が保健室まで
抱えて来てくれたらしい。
ドンッ!!!
1人目
ガスッ!!!!
2人目
……………
バンッ!!!!!
音がした。
何かが高い所から地面に落ちたような音……
その時、俺は目の前の現実を受け入れられなかった。
俺は完全に我を忘れていた。
笑っていた。
少年は ──────
泣いていた。
狂気に染まり、己を忘れ、自分を捨て、
ただただ、悲しかった
寂しくなった
己を恨んだ
自分を呪った
憎い……
すべて憎い
この世を殺し、呪い、憎み、全てを
消したいくらいに
ほんの一瞬の人の温もりを思いやり
を
奪われた………
そんな今、俺に何が残る?
何も無い………
何も……
─────────神木が死んだ──────
その時、俺は俺の全てを悟った。
俺は誰にも理解できないと。
永遠に孤独なのだと………
もう自分でも、泣きたいのか
笑いたいのか分からなかった
─────────────────────────
幸い、俺が突き落としたいじめっ子は死ななかった
俺は、その後、警察や児童相談所、精神病院、色んな所を転々としていた。
一年後
俺は完全に、グレていた。
今、気になるのは、あの時あの夢で聞き取れなかったあの言葉……
これが少年の過去、救いようのない、絶望的な
過去の時間。
そして、次の騒動から少年は、生きる目的を持つことになる……
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。