購買から帰ってきて、席へ座る。
奏は前の席の椅子を借りて、俺と奏と Ω の3人 。
残しても持って帰れるようにと、奏がメロンパンを買った。
と、Ω が戸惑った様子で奏に言う。
と、次に Ω が困った表情で俺を見てくる。
と、呆れたように卵焼きを口へ運ぶ。
Ω も諦めたのかメロンパンの袋を開け、
少しずつちぎって食べ始めた。
クラスの男子に言われ廊下を見る。
教室の前で、もじもじとしている女の子がいた。
「 あいつまた女じゃん 」「 いいなぁ α は 」
「 Ω の付き添いなったから遊びも減るだろ笑 」
チッ…、知るかよ。向こうから来んだから、
ー
ーー
ーーー
女の子に人気の少ない場所まで連れてこられる。
いつもこんな感じ。
皆、ただ " 彼氏 " という存在が欲しいだけ。
俺はそれに利用されてる。
相手がそれでいいなら別にいい。
泣いて帰られる方がだるい。もちろん、そんな奴らに
俺が本気になった女の子なんか1人もいない。
ー
ーー
ーーー
女の子とLINEを交換して教室に戻ってきた。
席に座って、ご飯を食べる。
食い終わり、弁当箱を片付ける。
ピコンッと、さっきの女の子からLINEがくる。
めんどくさいのがまた1人、ほんと。やってらんねぇ、
ガタンッと、立ち上がる。
と、教室から出て行く。
今まで誰も、奏も何も言わなかったのに…、
口出してきた奴なんか初めてだった。
ムカつく。Ω の癖に。
別にいいだろ、誰も悲しんでねぇじゃん。
用を足し、トイレを出て、教室に戻る。
Ω が申し訳なさそうにして俺の所に来た。
ふにゃっと笑う、 Ω の顔が…可愛く見えて、
何故か ドキッ としてしまった。
ポンッと、奏が俺と Ω の肩を掴んで間に入ってくる。
そんなに強く肩を掴まれていないはず…、
あいつの体どんなけ弱ぇんだよ。
席に着き、チャイムが鳴る。
席をくっつけて、また、Ω と教科書を使う。
Ω の事、色々と気になった。
付き添いを任された身だから、知っておく方がいい。
そう思っただけ。
そう思っただけだ。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。