次の日___
嘘だろ、、
こいつ…昨日の助けた Ω じゃねぇか。
か細い声で、誰とも目を合わせようとせず
下を向いている。そんなところにまた、腹が立つ。
「 首輪ついてる 」「 え、Ω じゃん 」
「 まじかよ 」「 可哀想 」「 馬鹿、声でけぇよ 」
クラスの奴らがザワついている。
当たり前だ、この世界で Ω は絶滅危惧種に近い存在。
β が大半で、残りが α 。
この教室にも俺を含め α は 4人いる。
は…、? なんだよそれ…
「 え、ヒート不定期って事? 」「 βの俺らもやばくね 」
「 まじかよ、 」「 気持ち悪ぃ 」「 最悪 」
そう。 Ω の発情は 普段感知できない β にまで影響が及ぶ。
となれば、α の俺はさらにえぐい事になる。
だから昨日ヒート中に外にいたのか。
昨日ヒートを起こしたこいつに、理性を保てた事は、
普通なら有り得ない。俺もそんな話聞いたことがない。
抑制剤 : α のフェロモンを主体として作られた飲み薬。
効き目に個人差がある。
特攻薬 : ヒートが起きた際に腕や脚に打つ薬。
副作用が強く、目眩や頭痛、吐き気を引き起こす。
さっきまでザワついていた教室が静かになった。
付き添い…お互いリスク高すぎだろ…
ま、初めに選択肢から外れるのは最も相性の悪い α 。
だから、俺には関係ねぇ話だ。
Ω が社会でやっていくのは余りにも難しすぎる。
それを分かった上で、あいつは学校に来た。
大人しく家にいればいいのに…馬鹿な奴。
付き添いになってくれる人を探していたのか
顔を上げ、キョロキョロとしていた。
その時に目が合ってしまった。
慌てて目線を外す。
スタスタと足音が近づいてくる。
嫌な予感がする。
足音が俺の目の前で止まった。
震わせた手を強く握りしめて、
Ω は俺に話しかけてきた。
「 まじかよ、あいつ 」「 α の匂いとか分かんのかな 」
「 α に行くって、あいつ本当はヤりてぇんじゃね?笑 」
クラスの視線が集まる。
バンッ! と机を叩いて、立ち上がる。
Ω の胸ぐらを掴む。
少し強めに押すようにして Ω の胸ぐらから手を離す。
おっさんに殴られてなかったら俺も襲ってた。
はず。たぶん。
俺だって、訳が分からねぇよ、
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。