第2話

2.
21,946
2022/05/07 12:00
次の日___


雨宮 雫 (アマミヤ シズク)
雨宮 雫 (アマミヤ シズク)
雨宮雫です。よろしくお願いします。
榎本 綾斗(エノモト アヤト)
榎本 綾斗(エノモト アヤト)
ッ…!?
嘘だろ、、

こいつ…昨日の助けた Ω じゃねぇか。


か細い声で、誰とも目を合わせようとせず

下を向いている。そんなところにまた、腹が立つ。



「 首輪ついてる 」「 え、Ω じゃん 」

「 まじかよ 」「 可哀想 」「 馬鹿、声でけぇよ 」



クラスの奴らがザワついている。

当たり前だ、この世界で Ω は絶滅危惧種に近い存在。

‪β が大半で、残りが ‪α‬ 。

この教室にも俺を含め ‪α‬ は 4人いる。
先生
先生
静かに…雨宮くんについて大切なお話があります。普通、現段階での平均的な Ω は今の年齢だとヒートは1ヶ月に1度というように決まっているはずなのですが、雨宮くんは特殊な体質で、一般の Ω に比べ成長が遅れているそうなんです。つまり、いつヒートを迎えるか彼自身も把握出来ていない状態です。


は…、? なんだよそれ…



「 え、ヒート不定期って事? 」「 βの俺らもやばくね 」

「 まじかよ、 」「 気持ち悪ぃ 」「 最悪 」



そう。 Ω の発情は 普段感知できない β にまで影響が及ぶ。

となれば、‪α‬ の俺はさらにえぐい事になる。


だから昨日ヒート中に外にいたのか。


昨日ヒートを起こしたこいつに、理性を保てた事は、

普通なら有り得ない。俺もそんな話聞いたことがない。

先生
先生
最後まで話を聞きなさい。
先生
先生
一般の Ω 同様、雨宮くんは抑制剤と特攻薬を持っています。なので、万が一ヒートを起こしてもそれでなんとか対応が出来るはずです。ですが、その後副作用で体調を崩してしまう確率がかなり高いです。なので、誰か雨宮くんの付き添いとなってくれる人いませんか。

抑制剤 : ‪α‬ のフェロモンを主体として作られた飲み薬。
効き目に個人差がある。

特攻薬 : ヒートが起きた際に腕や脚に打つ薬。
副作用が強く、目眩や頭痛、吐き気を引き起こす。



さっきまでザワついていた教室が静かになった。


付き添い…お互いリスク高すぎだろ…

ま、初めに選択肢から外れるのは最も相性の悪い α‬ 。

だから、俺には関係ねぇ話だ。


Ω が社会でやっていくのは余りにも難しすぎる。

それを分かった上で、あいつは学校に来た。

大人しく家にいればいいのに…馬鹿な奴。

雨宮 雫 (アマミヤ シズク)
雨宮 雫 (アマミヤ シズク)
ッ…!

付き添いになってくれる人を探していたのか

顔を上げ、キョロキョロとしていた。

その時に目が合ってしまった。

慌てて目線を外す。
榎本 綾斗(エノモト アヤト)
榎本 綾斗(エノモト アヤト)
ッ…
先生
先生
誰か、いませんk((   
ちょっと、どこ行くの雨宮くん

スタスタと足音が近づいてくる。

嫌な予感がする。



足音が俺の目の前で止まった。

雨宮 雫 (アマミヤ シズク)
雨宮 雫 (アマミヤ シズク)
ぁ…あの、
榎本 綾斗(エノモト アヤト)
榎本 綾斗(エノモト アヤト)
……、


震わせた手を強く握りしめて、

Ω は俺に話しかけてきた。

「 まじかよ、あいつ 」「 ‪α‬ の匂いとか分かんのかな 」

「 ‪α ‬に行くって、あいつ本当はヤりてぇんじゃね?笑 」



クラスの視線が集まる。
雨宮 雫 (アマミヤ シズク)
雨宮 雫 (アマミヤ シズク)
僕の付き添i((
榎本 綾斗(エノモト アヤト)
榎本 綾斗(エノモト アヤト)
俺、‪α‬ なんだけど。
雨宮 雫 (アマミヤ シズク)
雨宮 雫 (アマミヤ シズク)
し、知ってます。でも
榎本 綾斗(エノモト アヤト)
榎本 綾斗(エノモト アヤト)
じゃあ、他当たってくれる?
雨宮 雫 (アマミヤ シズク)
雨宮 雫 (アマミヤ シズク)
ぉ…お願いします…。
榎本 綾斗(エノモト アヤト)
榎本 綾斗(エノモト アヤト)
…お前、昨日俺が言ったこと覚えてねぇの?
雨宮 雫 (アマミヤ シズク)
雨宮 雫 (アマミヤ シズク)
ッ…、
榎本 綾斗(エノモト アヤト)
榎本 綾斗(エノモト アヤト)
ほんと、迷惑だから。そうゆうの。
雨宮 雫 (アマミヤ シズク)
雨宮 雫 (アマミヤ シズク)
君しかi((

バンッ! と机を叩いて、立ち上がる。
榎本 綾斗(エノモト アヤト)
榎本 綾斗(エノモト アヤト)
知るかよ、自分で自分守れねぇなら親に何とかしてもらえよ。Ω の面倒なんか見たくねぇ、
先生
先生
ッ…榎本くん、!
榎本 綾斗(エノモト アヤト)
榎本 綾斗(エノモト アヤト)
ッ、なんで俺が悪いみたいになってるんすか?正直に、俺は Ω が嫌いって言ってるんです。先生も、本当はだるいとか思ってるんすよね、こんな問題児がらクラスに来て、
先生
先生
そ、そんな事ないわ…ぁ、雨宮くん。どうして榎本くんなの?彼は α‬ 。貴方がヒートを起こしたら1番厄介な相手になる事、貴方が1番分かっているでしょ?
雨宮 雫 (アマミヤ シズク)
雨宮 雫 (アマミヤ シズク)
ッ……昨日の朝、
榎本 綾斗(エノモト アヤト)
榎本 綾斗(エノモト アヤト)
ッ、おい、
雨宮 雫 (アマミヤ シズク)
雨宮 雫 (アマミヤ シズク)
…昨日の朝、僕は外でヒート起こして、近くにいた‪ α‬ に襲われました。
榎本 綾斗(エノモト アヤト)
榎本 綾斗(エノモト アヤト)
おい!
Ω の胸ぐらを掴む。

雨宮 雫 (アマミヤ シズク)
雨宮 雫 (アマミヤ シズク)
ッ…そ、その時に、彼が助けてくれたんです。僕のフェロモンにあてられて発情していたはずなのに。
榎本 綾斗(エノモト アヤト)
榎本 綾斗(エノモト アヤト)
ッ…余計な事言うn((
雨宮 雫 (アマミヤ シズク)
雨宮 雫 (アマミヤ シズク)
びっくりしました。‪α‬ は Ω のフェロモンに勝てないはずなのに彼は僕を襲わなかった。
先生
先生
ッ…、そ、それほんと…、榎本くん、
榎本 綾斗(エノモト アヤト)
榎本 綾斗(エノモト アヤト)
……んなの、たまたまだ。

少し強めに押すようにして Ω の胸ぐらから手を離す。


おっさんに殴られてなかったら俺も襲ってた。

はず。たぶん。

俺だって、訳が分からねぇよ、

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