第38話

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2020/10/03 09:44


深夜…マサイの家


モトキ
モトキ
(……マサイ?)

眠っているシルクを起こさないように
俺はそっと部屋を出る

体に感じる爽やかな乾いた風…

月の青白い光の中、バルコニーで頬杖をつくマサイに声をかけた
モトキ
モトキ
…マサイ?…どうしたの…眠れない?
マサイ
マサイ
…ん?…あぁモトキか

わりぃ…起こしたか?
そう言って力の無い笑顔で振り返るマサイ
俺も隣に並んで…
モトキ
モトキ
いや…たまたま目が覚めただけ…

そしたら…外に月の光に包まれたマサイが見えて

…それが綺麗だったから?
何か隠してる感じのマサイが気になって、心配で…とは言えず…でも…
マサイ
マサイ
なんだよ…それ…

気持ちわりぃなぁ…
今度は無邪気な笑顔でこっちを見た
モトキ
モトキ
(いつものマサイだ…)
モトキ
モトキ
……このマンションってさ、景色いいよね…ホント
マサイ
マサイ
俺、この景色が気に入ってここに決めた位だから
うーんと伸びをしながら答える
マサイ
マサイ
……考え事とか……気持ちを落ち着けたい時とか……こうやってぼーっとするんだよ
モトキ
モトキ
ん…そっか…
チラッとこっちを見るマサイ…

風が髪をを音もなく揺らす
まどろむような静寂につつまれていた
マサイ
マサイ
……なぁ…モトキ…
モトキ
モトキ
うん?なぁに…
マサイ
マサイ
ちょっと…話してもいいか…?
モトキ
モトキ
いいよ…付き合うわ
マサイ
マサイ
わりぃな…
俺を見て微笑むマサイ…
マサイ
マサイ
……今日は悪かったな
調子にのって揶揄からかうみたいにしてさ…
モトキ
モトキ
あぁ、それ?……ふはっ…大丈夫だよ
俺もそれなりに楽しんだし
モトキ
モトキ
まぁ答えづらい質問攻めではあったけど…
マサイ
マサイ
ホントごめんな…?
モトキ
モトキ
ホントに大丈夫だって!

…でもさ、それが話したかったこと?
マサイ
マサイ
んー…それだけ…じゃないんだわ
モトキ
モトキ
話しづらいなら止めといてもいいし…
マサイ
マサイ
…あのさ……
モトキ
モトキ
ん…?
マサイ
マサイ
俺…

あなたちゃんが好き…なんだわ…
モトキ
モトキ
……うん
マサイ
マサイ
…いや、正しくは“好きだった”…かな
モトキ
モトキ
そっか……
マサイ
マサイ
…怒らねぇの?
モトキ
モトキ
…怒った方がいい?
マサイ
マサイ
いや……
真っ直ぐ前を向いたまま、マサイが呟いた
マサイ
マサイ
さすがモトキだよな…
俺だったら無理だわ…
モトキ
モトキ
そうかな……だってさ、好きなのはしょうが無いじゃん?
それをダメって言うのは酷なことじゃない?
マサイ
マサイ
……
マサイ
マサイ
俺さ……あなたちゃんに気持ち…伝えたんだよ…
この間の海行ったとき…
モトキ
モトキ
!…あの写真撮ったとき?
マサイ
マサイ
そう…
本当は言うつもり無かった
もうモトキと付き合い始めた後だったしな…
モトキ
モトキ
……
マサイ
マサイ
でもさ、モトキから付き合ってるって話しを聞いて…正直後悔した…
なんでもっと早く気持ちを伝えなかったって…
モトキ
モトキ
何か…ごめん…
マサイ
マサイ
何でお前が謝るんだよ…
苦笑いのマサイ…
マサイ
マサイ
でもさ、気持ちを伝えて俺はスッキリしたけど…
お前に対して罪悪感があってな…
マサイ
マサイ
俺こそ謝らなきゃいけない…
モトキに言わなかったこと
マサイ
マサイ
悪かったな…ホントに
泣き出しそうな顔をしたマサイが
俺に視線を向ける
モトキ
モトキ
マサイ…

ありがと、言ってくれて
モトキ
モトキ
俺はさ…彼女が大事だけど、友達も大事だから…
モトキ
モトキ
その大事な友達が、我慢とかツラい思いをしてるの…嫌だ
マサイ
マサイ
モトキ…
マサイ
マサイ
ははっ…あなたちゃんがモトキを好きになったのが分かる気がするよ…
モトキ
モトキ
え…?
マサイ
マサイ
やっぱお前…優しいわ…
モトキ
モトキ
えー……そうかなぁ…?
マサイ
マサイ
そう!だって、俺が女子だったら惚れるもん…
モトキ
モトキ
ちょっとー…やめてくれよ…!
表情を緩めたマサイからは白い歯が覗き、ニカッと笑っていた
マサイ
マサイ
…あ!もう1個後悔してたことあるわ!
モトキ
モトキ
え…?
マサイ
マサイ
模擬挙式のモデル!やっぱ俺がやれば良かったなーって…
モトキ
モトキ
あぁ…
俺はあの日を思い出して…
モトキ
モトキ
マサイの無茶ぶりでモデルやることになったんだもんね…
マサイ
マサイ
そ……もし、俺があなたちゃんと一緒にモデルやってたら…って
マサイ
マサイ
もしかしたら、今あなたちゃんのとなりにいたのは…俺だったのかな…ってさ
モトキ
モトキ
ふふふっ…そうかもね…
マサイ
マサイ
でもさ、あなたちゃんの運命の相手は…モトキくんだったみたいだし?
モトキ
モトキ
運命かぁ…それは、どうかなぁ…

そうだったら嬉しいけどさ
マサイ
マサイ
俺はさ、あの海であなたちゃんが…モトキを大好きって言ったの聞いて…
マサイ
マサイ
胸のつかえが取れたっていうか、スッキリしてな…

モトキを素直に祝福できるなって思ったんだわ
マサイは微笑みながら、柔らかい眼差しをこちらに向けて…
マサイ
マサイ
モトキ…良かったな!

心から大事にしたいって思える人と出逢えたんだろ?
…泣かせんじゃねぇぞ?
モトキ
モトキ
マサイ……ありがと……

俺、あなたに相応しくなれるように頑張るわ
モトキ
モトキ
それに…絶対に泣かせるようなことはしないから…!
マサイ
マサイ
絶対だぞ?…約束な!!
モトキ
モトキ
おう!!

涼しい風が吹いている夜更け…
目と目を合わせて、ふたりで笑い合った


モトキ
モトキ
…ねぇ、そろそろ部屋に戻らない?
少しは寝た方がいいよ?
マサイ
マサイ
そうだなぁ…

モトキ、先に戻っていいぞ?
俺はもうちょっと風にあたってるわ…
モトキ
モトキ
…ん、そっか…先に戻ってるわ

外にいすぎて風邪引くなよ?
マサイ
マサイ
おぉ、分かってるって…
 
じゃあな…おやすみ…
モトキ
モトキ
おやすみ…
バルコニーにマサイを残して、俺は部屋に戻った
モトキ
モトキ
(さて…と、寝ようか…)
モトキSide

なかなか寝付けないな…
でも、マサイと話せて良かった

ありがと、マサイ…



マサイ
マサイ
………
マサイSide

俺…ちゃんと話せてたか?
でも、モトキと話せて…謝れて良かった…






その頃のシルクは…
シルク
シルク
(…ふたりがちゃんと話せて良かった!)
実は目を覚ましていて、ふたりの話しをずっと聞いていたシルク…

安心してまた眠りについたのでした
シルク
シルク
(良かったな…モトキ!

頑張ったな……マサイ!!)


















ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー




はい、作者でごさいます!

また更新が遅くなってしまいすみません💦
早く出すって言ったのに……💦

今回はまた夢主ちゃん、出てこず…男だけの回になりましたね

次回は夢主ちゃん出てくると思います!

お楽しみに!


それでは、アデュー!!


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