第6話

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2018/02/24 06:40
恋
うわ。最悪だ。
部活終わり、急に雨が降り出した。


あたしは傘を持ってきていない。


一緒に帰るはず凜音は教室に忘れ物をしたとかなんとかで「先に帰っといて!」と言われた。
知樹
知樹
お、俺の傘入る…?
とかいうめんどくさい(けど可愛い)知樹には
恋
いい。
と断りを入れておいて、どうしようかなー。と考える。

しょうがないから凜音に傘にいれてもらおう!
と勝手に決め、教室への道を急いだ。


教室に続く階段をだるいなー。と思いつつ登ると、聞きなれた誰かの声がした。
「___恋ってうざいよねー。」
…え?


まさか、転校前にこんなところで自分自身の陰口を聞くとは思わなかった。

あたしははぁ、とため息をつく。
色葉
色葉
最近さらにうざくなってきた気がする。
あたしの悪口いってる色葉かぁ…。

なんだかあたしは笑いそうになってしまった。


でも、なんだかその場から動けなくって。
体がガタガタして、正直…ショックなのかもしれない。



色葉なんかには嫌われたっていい。
なんて強がりが、本当な訳なかったんだ。


しばらく呆然と立ちすくんでいても、色葉と、クラスメイトの声は聞こえ続ける。



「ほんと、うざい。」

「理楓につきまといすぎ。」

「色葉がかわいそうだよ!」

「理楓もかわいそうだよね。」







「ねぇ。凜音もそう思わない?」
色葉の冷たくて、試すような声。



聞こえないはずの、
凜音の息を吐く音が聞こえた__




凜音
凜音
あたしは、恋の事、大好きだよ。





動かなかった体だったけど、あたしはなんだかホッとして、教室の方へ歩いた。


凜音が下を向いて複雑な表情で教室から出てくる。
恋
凜音。
凜音
凜音
あ…恋。
凜音は、無理をしてるって丸わかりの笑顔をうかべた。


あたしは恋に、言う。
恋
あたしも、凜音のこと、大好き。
凜音
凜音
…っ!
あたしはにこっと笑う。

この言葉は、あたしの本心。



凜音は、目を見開いて何も言わずに切なそうに笑った。
凜音
凜音
ありがと。
あとちょっとだけど、よろしくね。凜音。
























転校まで、あと6日。

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