予想よりも明るい色葉の声。
拍子抜けしそうになった。
言おうと思うとすごくたどたどしくなっちゃって、色葉は怪訝そうな目であたしを見る。
声を出したのは理楓だった。
そう言えば、理楓と色葉は一緒に喋ってたんだっけ。
色葉がくすくすと笑った。
あたしは何も言い返せない。
だって証拠が無いから。
冷たくて、疑いつつある瞳で
理楓は色葉を見つめた。
色葉は笑う。少しだけ、戸惑ったように。
__これくらいで怖がっちゃダメ。
強く、ならなきゃ。
真っ直ぐに、あたしは色葉を見つめた。
「そうだよね。」
ってあの時そばにいた、明梨ちゃんや凛音に意見を求める必要なんて、ない。
あたしは、あたしの言葉で伝えたい。
聞くのは怖かったけれど。
色葉の返事がどれだけあたしを傷つけるのかはわからないけれど。
でも、あと少ししかないみんなとの生活に、
後悔なんてしたくないから。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。