第2話

214
2018/02/18 08:31
凜音
凜音
恋、おはよ!
幼馴染の凜音が待ち合わせ時間に10分遅れてやってきた。

まぁ、いつもの事だけど。

謝りもしないのがムカつくなぁ…相変わらず。
恋
ん。おはよ。
あたしは遅れた事をなにも追及しようとしないで、挨拶を交わす。

だって、めんどくさいもの。

あたしが転校することは、だれにも伝えていない。

言ったら、待ち合わせに間に合うように来てくれるかも、謎だけど。
凜音
凜音
今日も寒いねぇ…!
恋
そうだね。
凜音
凜音
体育、あったっけ?
凜音はあたしが無口な事を知っているくせに、
わざわざ会話を続けようとどーでもいい事を聞いてくる。

そして、それが疲れるし、彼女の嫌いなところでもある。
恋
あるよ。
凜音
凜音
バスケかな?
恋
そうでしょ。
凜音
凜音
あ、そうそう。
バスケといえばさぁ___
ここからまた、凜音の長話がはじまる。

正直、あまり聞いていない。だるいし。


あたしはポケットからカイロを取り出してぎゅっと握りしめる。
恋
ね、あのさ
あたしが喋りかけると、凜音はびっくりしたようにこっちを向いた。
凜音
凜音
なぁに?
__転校するの。

言おうと思って、口を噤んだ。
恋
なんでもない。ごめんね
やっぱりやめだ。

あたしはそっとカイロをポケットに戻して、
複雑な笑顔を凜音に向ける。



凜音はきょとんと首をかしげて、笑った。
凜音
凜音
ううん!恋、ありがとう!
ありがとうの意味が分からず、
一瞬考えたけど、あたしの思考回路じゃ凜音の考えてる事は絶対に分からない。
あたしは、こくん。とうなずいた。


凜音はバスケの話をやめてふんふんと鼻歌を歌う。


学校の校門をくぐると先生が「チャイムなる二分前よー!はやくー!」と叫んでいて、あたしはため息をついた。
凜音
凜音
ご、ごめん
恋
いつもの事でしょ
凜音の顔が面白くて、あたしは、つい笑ってしまった。

プリ小説オーディオドラマ