今日の夜ご飯はコロッケだ。
あたしの大好物の。
あたしは小さめのコロッケをぱくっと1口くちに入れて、頬を膨らませた。
お母さんがこちらをチラリとみて、なにか言いたげな顔をしている。
お母さんに呼ばれて、あたしはご飯を食べる手を止めた。
____え?大阪って遠くない?
こんな状況でもあたしは冷静で、転校するのかな?と、ぼんやり考えていた。
ここは東京の__どちらかといえば田舎のほうで、それなりに人も住んでいる、まぁ良くも悪くも普通の住宅街だ。
大阪だと、かなり遠いよなぁぁ…。
お母さんはあたしが冷静な事に驚いたのか
少し目を見開いて、
でもこれがあたしのいつものペースだから少し首をまげて言った。
どうせ、もうすぐ中学2年生になるんだし、
ちょうどいい頃合で良かった。
別れたくないほど大事な人なんて、全くいないし。
あたしは好きな人も親友も、いなかったから。
あたしは笑っていう。
お母さんは一瞬下を向いて、その後苦笑いをした。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!