第13話

繋がる気持ち
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2023/04/28 21:00
メンバーと別れ、私とシルクは家に戻ってきた。

シルクをソファに座らせ、私もその隣に座る。

虚な瞳。
もう、何ヶ月も見ていなかった。
正直、もう見ることはないと思っていた。
あなた
…ごめんなさい。
いつかの対談動画で、シルクが好きな女性のタイプを、
"自分を見つめ直して、謝れる人"
と言っていたことを思い出す。

今回は、喧嘩をしたわけではない。
全面的に、私が悪いのだから、自分を見つめ直すも何もないけれど。

少しでも、気持ちが届くように。
あなた
…私、怖かった。
ずっと、ずっと、怖かった。
あなた
シルクと、離れる日が来ることが。
あなた
シルクを、困らせることが。
あなた
シルクを、束縛することが。








あなた
シルクを…好きになることが。
繋いだシルクの指先が、ピクリと反応したのが分かった。
シルクからの返事はない。
でも、シルクは言っていた。
遠いところにいる感覚。
浮遊しているみたいなんだ…って。

そして、言葉は、全部、聞こえているって。
あなた
期待することも。
あなた
裏切られることも。
あなた
気持ちが、膨れ上がることも。
あなた
何もかも。
怖かった…。
私の手が、震えているのか。
シルクの手が、震えているのか。

もう、分からなかった。
あなた
…シルク。
正面に移動し、シルクを真っ直ぐ見つめる。
そして。
自分の想いを。
絶対に言わないと決めていた言葉を。
あなた
……好きだよ。
大好き。
シルクに伝えた。






シルク
……れ…
あなた
…シルク?
手を、握り返される。
シルク
…おれも、好きだ。
私を見つめるその瞳は。
いつもの、大好きなシルクのものだった。
あなた
…シル…っ
そして、私が名前を呼ぶより早く。
私の口は塞がれた。

シルクの唇によって。
あなた
……ん…
そっと、目を閉じる。

もう、言葉は必要なかった。

角度を変えながら、何度も何度もキスを繰り返す。
どれぐらい、そうしていただろう。

もう、時間の流れすら分からない。
シルク
……っは…ぁ…
ゆっくりと離される唇。
そして、コツンと。
シルクは額を重ねてきた。
あなた
……っ////
間近にある、シルクの瞳に、思わず顔が紅潮する。
シルク
…やっと。
…やっとだ。
シルクの、優しい声色に同調するかのように。
私の心音も穏やかな音色を奏で始める。
シルク
…ずっと。
あなたの心が欲しかった。
あなた
私の、心…?
シルク
ああ。
初めて会ったときから、ずっと気掛かりだった…。
全然、自分を大事にしない奴だって。
あなた
………。
シルク
俺のことが何より優先で。
俺が望むなら、身体でも何でも差し出しますよって簡単に言ってのける。
仕事が忙しいのに、俺が食うことに困らないように、自分の時間を犠牲にして飯作って…。
額を離し、シルクは真っ直ぐに私を見つめた。
シルク
そんなあなたに、俺の気持ちを伝えたら、自分が望んでなくても頷くことは目に見えていたから。
だから、今まで何も伝えられなかったんだと。
シルクはそう言った。
あなた
…ずっと、待っていて、くれたんだね。
私が、自分の意思で想いを伝えられる日を。
自分を優先できる日を。

シルクは、ずっと待っていてくれたのだ。
シルク
……そしたら。
不審者、とか。
ンダホ、とか。
同期の男、とか。
色々出てきて…。
あなた
………ンダホさんは、よくない?
そこに入れるの、可哀想なんだけど。
私のツッコミに。
ちょっぴりムスッとしながら、シルクは私を抱き上げた。
あなた
…ちょっ///
シルクは、私を膝の上に乗せ、後ろからギュッと抱きしめた。
シルク
…マジで。
めちゃくちゃムカついたんだ。
あー…これが、独占欲ってやつなんだ…って、初めて気づいた。
だから…と、私の首筋に顔を埋める。
それは、昨日の行為を彷彿とさせた。

身体が、無意識にビクッと跳ねる。
あなた
…や、あの//
身体が反応したことが恥ずかしくて、顔を腕で覆う。
シルク
……その反応、反則。
私が、え?と聞き返す前に。
シルクは、そのまま私をお姫様抱っこした。
あなた
ちょ、ちょっ!!//
突然のことだったので、落とされないよう、無意識にシルクの首にしがみつく。

すると、いつもよりも深くシルクの香りに触れて。
私は、真っ赤になって思考もショートした。
シルク
……そんなんで、どーするんだよw
今から、もっと、たくさん俺を感じてもらうのに。
意地悪く、耳元で囁かれる。
それだけで、ゾクっと感じてしまうほどだ。

だめだ…。
身体の芯がジンジンする感覚。

私、今。
自分の意思で、シルクに抱かれたいって思ってる。
と同時に、それを伝えた時の、シルクの反応が見たいと思った。
あなた
……シルク。
シルク
ん?
あなた
私、シルクで、満たされたい…。
少し伸び上がり、シルクの耳元にそっと呟く。
その言葉を告げた瞬間。
シルクの瞳にオスの気配がブワッと広がったように感じた。
シルク
……今のは、あなたが100悪い。
途中で止めてって言ったって。
もう、無理だからな。
シルクは、私をお姫様抱っこしたまま、部屋を移動した。
ベッドに沿わせ、上から覗き込むように覆い被さる。

そして、先ほどよりも。
情熱的で、熱いキスをした。

少しずつ暴かれる身体に、胸は高鳴るばかりで。
私は、シルクの愛撫を受け入れた。







とても優しく、真綿に包まれるような感覚。
互いを想いやる行為は、とても神秘的なものに思えた。

私は、その日。
心も身体も。
シルクと一つになることができたのだ。

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