第17話

知略と体力
577
2023/05/02 21:00
マサイ
…はぁ、はぁ…
あれ?シルクは?
ダーマ
うぇーしんどー…
ンダホ
シルクには負けたー。
ザカオ
つか、あなたちゃんは??
マサイ
え!?
いなかったんだけど。
ダーマ
ここにいねぇの?!
その会話に、思わず笑ってしまう。
その声が聞こえたのか、4人はキョロキョロと辺りを見回した。
あなた
やw
軽く手を挙げて、私は4人の前に姿を現す。
マサイ
あーーー!!!
ダーマ
嘘ぉ!!
いつの間に着いてたんだ?!
あなた
ンダホさんとザカオさんが来たのと、ほぼ同時w
4人とも、ポカンと口を開けている。
意外に、体力使っちゃった感じかな?
もっと、楽しませてもらわないとw
あなた
次のポイントまでは、3キロぐらい。
せいぜいがんばってねw
そう言って、走り出す。
ハッとしたダーマとマサイが反射的に追いかけてくる。
マサイ
とりあえず!このままあなたちゃんを追う!
ダーマ
2人は次のポイントで待っててくれ!
ンダホ
…オッケー。
もうシルクとの対戦無理だけどー…。
ザカオ
俺も次は一旦休みたいかも。
モトキに連絡する??
ンダホ
だ、ね。
2人はタクシーで移動をしながら、モトキに連絡をして事情を説明する。
モトキ
りょーかーい!
それにしても。
あなたちゃんもかなり走れるわけか…。
さぁ。
Fischer’sのブレーンがどう動くか。
楽しみだ。
シルク
あ。あなたw
あなた
シルク!
お疲れw
大丈夫??
シルク
おー余裕余裕w
第2ポイントとなる「竪川河川敷公園」。
水上アスレチック動画の舞台となった場所だ。
その遊具広場で、吊り輪にぶら下りながらケラケラと笑うシルク。
あれだけ15分間動きっぱなしだったのに。
凄いなぁ。
あなた
さっきの鬼ごっこ。
かっこよかったよw
シルク
マジ?w
じゃ、次も頑張らないとな!
ニヤリと笑うシルクは、本当に楽しそうだ。

さあ、次は誰が来るか。

2人で待っていると。
モトキ
こっちかー。
水上アスレチックの方探しちゃったw
シルク
お。モトキか。
軽い身のこなしで、モトキが向かってきた。
シルク
1人でいけんの?
モトキ
ホントは嫌だけど。
4人バテバテなんだよー。
だから、今回は休ませてあげようかと思って。
シルク
オッケーw
……じゃあ、いくぞ!
2人は、一気に身体の動きを加速させる。
シルクは、すぐに遊具の上に登り、そこから脚を使って前後に揺さぶりをかける。

モトキは、シルクの動きを予想しながら、隙が出来ないか窺っているようだ。
モトキ
……!!ここっだ!!
そして、足場が一瞬ズレたのを見逃さず、タッチをしかける。

……が。
シルク
へへっw
シルクは大きく跳びはねると、モンキーバーを利用して一気に弾み、モトキと距離をとった。
モトキ
うっわ!くやしー!!
今、いったと思ったのにー!!
そこからは、一進一退の攻防が続いていた。
10分が経過した頃、ンダホとザカオが第2ポイントに到着する。
それを目の端で捉えた私は、シルクに声をかけた。
あなた
シルクごめーーん。
鬼が来たから先に行くねー!
シルク
おう!後でな!
あなた
はーいw
ンダホとザカオに手を振りながら、次の目的地を告げた。
あなた
次は、「東綾瀬公園」だから、ここから約10キロ!
がんばろーねw
ンダホ
はーーー??!
無理だよーー!
ザカオ
あなたちゃん、まだいけんの!?
颯爽と走り出す。
もちろん、ンダホとザカオは追いかけてこない。
マサイとダーマはどうしたかな?
…先で、待ち伏せているのかも。
あなた
油断大敵…ってやつかな?
先程よりも周囲を気にしながら、私は第3ポイントを目指した。



その頃、シルクは。
シルク
よっしゃーーー!!
回避ーーー!!
モトキ
めっちゃ悔しーーー!!
どうやら、勝利を収めたようだ。
ただ、その喜びに浸る時間はない。
すぐにその場を離れる。

現在、鬼ごっこ開始から1時間15分が経過していた。
シルク
じゃーなー!!
ンダホ
あ!シルク待てー!!
って、いてて!膝が痛いよー泣
シルクは、また、タクシーに乗って行ってしまった。
残されたメンバーは、各々連絡を取り合う。
モトキ
もしもし?
マサイとダーマ、今どこ?
マサイ
今、第2は間に合わないと諦めて、第3ポイントに向かってる。
モトキ
マジ?ナイス!
悪いんだけど、俺とザカさんは土手のために温存したいから、第3の鬼ごっこは任せていい?
ダーマ
ダホは??
ンダホ
ごめーん。
膝が痛いから、戦線離脱ー。
マサイ
マジかw
おっけー!
シルクに勝てる気はしないけど。
できるだけ体力削れるよう頑張るわ!
ここから先は、3時間という制限時間も気になってくるところだ。

私は、走るペースを少し上げた。
できれば、10キロ40分ぐらいで走りたい。
あなた
……やっぱ、50分にしよ。
最後までペース配分考えないとね。
マサイ
よし!第3ポイント到着!
久しぶりだなー東綾瀬!
ダーマ
シルクはまだみたいだね。
冒険コーナーで、2人はシルクが来るのを待つ。
ここも、Fischer’sがよくアスレチック鬼ごっこをした場所だ。
ダーマ
シルクの体力も、もうかなり削られてるだろうから、2人で挟めば何とかなるかも。
マサイ
だな。
…俺たちも大概足パンパンだけどなw
2人が作戦を練っている間に、私は東綾瀬公園に到着した。

さ。いっちょ頑張りますか!
あなた
第3ポイント!
鬼ごっこ、スタート!!
急な私の声に、2人は驚いて振り向く。
と同時に、私は2人の目の前を走り抜ける。
マサイ
は!!!?
ダーマ
え??なに??
シルクは?!
あなた
シルクは来ないよー。
ここは、私との鬼ごっこ!
よろしく!
嘘だろー!という、マサイの絶叫が響き渡った。

当初の予定では、15分間鬼ごっこの全てをシルクに任せることになっていた。

でも。
シルクには、最後の土手で全力を出して欲しかったから。
私がシルクにお願いしたのだ。

元長距離ランナーの私は、正直瞬発力にはさほど自信はない。
マサイやダーマにだって劣るだろう。
あなた
でもね。
持久力なら、シルクにだって負けない!
私は遊具での鬼ごっこに早速見切りをつけ、多目的広場へ移動する。
ずーっと同じ場所にいると、挟み撃ちなどされやすくなる。
遊具が多い場所でもきっと不利になるから。

だから私は。
あなた
永遠に走り続けてやる!

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