※ほんの少しだけ大人向けな表現が入ります。
苦手な方はお気をつけください。
翌朝
パチっと目を覚ます。
そこには、シルクの穏やかな寝顔があった。
こんな風に、寝顔を見るのは2回目だ。
寝顔って、どうしてこんなに幼く見えるのだろう。
無防備、だからだろうか。
そう呟いた時。
パッとシルクの瞳が開いた。
ふぁ〜…と欠伸をしながら、擦り寄ってくる。
や、待て待て待て!
なんだそれ。
可愛すぎる!
私は身体を硬直させた。
もう、シルクには一生勝てる気がしない…。
シルクが、スマホを確認する。
朝の7時半。
今日が休日で良かった。
昨日は色々とありすぎたから。
きっと、みんな心配しているだろう。
シルクが、グループラインにて事情を説明しようと試みる。
が。
は!?
とんでもないことを言い出すシルクに、私は慌てて距離をとる。
だって、今の私たちは、その、あれだ。
所謂ところの"事後"なので、服を着ていない。
掛け布団を身体に巻き付け、逃げる私を見て、シルクはおかしそうに笑った。
私の身体を、上から下までジロジロと見つめるシルク。
布団を巻き付けているので、全部がオープンになっているわけではないが。
今しがた、俊敏な動きをしたせいで、疑問に思ったのだろうか。
まぁ、一般的には。
腰が痛い。
下腹部が痛い。
身体が怠い。
とか言うけれど。
昨日のシルクは、どこまでも優しかったから。
無理やり…とか、理性無くして…みたいな瞬間は、一度たりともなかった。
だから、身体に負担は全くなかったのだが。
ん?
何か、不貞腐れてないか?
ガキか!!
と、思わずツッコみそうになった。
どうやら、こういう行為に慣れているから、身体のダメージが少ないと思われたようだ。
いや、もちろん経験はある。
それはお互い様だろう。
もう、27歳だ。
けど。
半年以上一緒に暮らしているんだ。
少なくとも、私は、その期間縁のなかった行為だ。
だから。
久しぶりだし。
慣れてなんかない。
でも。ここまで赤裸々に話すのも気まずいから。
端的に答えた。
何なの!?
めちゃくちゃ聞いてくるやん!!
正直、どうでも良くないか?!
と、思うのだけれど。
シルクを見ると、視線を下げ、拗ねたような仕草を見せているから。
……確かに。
私たちは、お互いのことを知らなすぎるんだな、と思った。
シルクは、YouTuberだし。
その活動の中で、ある程度、私生活を公表していたりもする。
正直、知りたくない情報も入ってくる。
…経験人数とか。
…付き合った人数とか。
でも。
私は、これまで一線を引いてきた。
いつでも、引き返せるように。
線を、越えてしまわないように。
だから、本名ぐらいしか伝えていなかったかもしれない。
よし。
と、気合を入れる。
モゾモゾとベッドに戻る。
とんでもなく恥ずかしいけれど。
もう少し、情事後の雰囲気に浸りつつ、お互いを知るのもいいんじゃないかと、思ったのだ。
シルクが、反応してしまった。
それを意図してくっついたわけではなかったけれど。
でも。
自分の身体に反応してくれることは、素直に嬉しかったから。
シルクの余裕のなさそうな言葉に、クスリと笑う。
以前、言われたその言葉を思い出す。
そんなこと、考えたこともなかったから。
素直に、嬉しかったんだ。
ヤバい!と本能が察知した時には、既に遅かった。
バサッと、掛け布団が剥がされる。
隠すものがなくなり、全身が曝け出される。
腕で、大事な部分を隠そうとするが、もちろん隠せるわけもなく。
スーッと、腹部を撫でられる。
ふにふにと、胸を触られる。
角度を変えて、何度も何度も。
あ、身体が熱ってきた…。
太ももの隙間から、軽く撫でられる。
それだけで、身体はビクッと反応してしまう。
激しい口付け。
すぐに、舌を絡めとられる。
スイッチ、押しちゃったんだろうな…と。
蕩ける思考で、ぼんやりと考えた。
その後は、ご想像通り…ということで。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!