結果は、私の勝利。
途中から、2人はもう走れなくなっていた。
なんか、ごめん。
ここから土手までは3キロほど。
シルクは上手く隠れて待ってくれているだろうか。
私は時計を見る。
鬼ごっこ開始から2時間30分が経過した。
恐らく、土手までは15分もかからない。
一人でハハッと笑いながら、私は土手を目指した。
シルクは、第2ポイントでモトキに勝利したあと、そのまま土手に直行していた。
ここは、隠れる場所ならいくらでもある。
俺の5分ぐらい後に、ンダホ、モトキ、ザカオが到着したのも把握済みだ。
あとは、第3ポイントで戦ったであろう3人を待つ。
〜♪〜♪〜
着信音。
連絡が取り合えるって、ありがたい。
鬼の5人はどうやら合流したようだ。
私たちを探している。
ラスト15分。
通話を切り、一斉に物陰から飛び出す。
わぁ、3人か。
これは、厳しそうだ。
でも。時間稼ぎぐらいはできるかな。
円形に陣を組み、ジリジリと距離をつめる3人。
さすが。距離のつめ方が上手い。
100分間鬼ごっこで鍛えられているんだろう。
残り、10分。
一瞬の隙をついて、逃げる。
…上手く躱せた、のだが。
その先に、ンダホがいた。
ンダホのお腹にぶつかり、ポヨンとなる。
全然気づかなかった。
みんながシルクとモトキを見る。
ジリジリと、お互いに相手の出方を伺っているようだ。
あと、5分。
後は任しとけ!
とでも言うように、私に向かってアデューのサインを出す。
あと2分。
一斉に、シルクへと向かっていく鬼たち。
シルクは、全員の位置を瞬時に把握すると、サッと抜け出す。
残り、1分。
土手は走りにくいのか、抜け出したシルクに、みんななかなか追いつけない。
残り、30秒。
残り、10秒。
9、8、7……
…3、2、1、
タイマーが鳴った。
結果は。
もう、みんな"動けない"とでも言うように、座り込んでしまっている。
今日走った距離は、トータルで25キロぐらい。
まぁ、それくらいなら。
罰ゲームあるなんて聞いてないぞー!
と、ブーイングが。
そう。
罰ゲームの内容は、私に考えさせてくれと、シルクにお願いしていたのだ。
シルクには、掻い摘んだ内容のみ話した。
みんな、固唾を飲んで、私の言葉を待った。
みんなの反応が面白すぎるw
私とシルクがそうだったように。
言葉にしないと。
伝わらないこともあるから。
まずは、サブリーダーのマサイへ向けて。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。
登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。