ピリリリリリ
聞きなれた電子音でうっすらと目を開ける。
あのあと、寝ちゃったのか
今日もきっといつもと同じことが起きるだけ。
なのに学校に行く必要とか、あんのかな
どうせ休んだって、怒る人も居ないのに。
紫 「……行かなきゃ」
頭に過ぎる言葉。
その言葉に押されるように重い足を動かし、準備をする。
一体この動作は、あと何回やるんだろう…
そんなことをふと思う。
……はぁ
また、ガヤガヤと騒がしい教室
うるさい、うるさい
こんなとこ、いれるわけない、
簡単な答えをだし、立ち入り禁止の屋上へと足を運ぶ。
屋上は二つある。
校舎の屋上と、体育館の屋上。
いつも利用許可が下っているのは体育館の方
校舎の屋上の方が、高く
風がよく通り気持ちがいい。
人も来ないし、1人になるのに丁度いい場所。
もういっそ、このままフェンスを越えてしまえば___楽、なんだろうか
そんなこと、ココ最近何回思っただろう。
この、薄汚れた世界に___
?? 「って、あれ?!人いる?!」
…は、?
誰?
今までここに誰か来たことなんてあるわけなく、私の口がぽかんと空いているのがわかる。
?? 「へぇ、ここって人来るんだ〜!」
…来てちゃわるいかよ
?? 「ここって、立ち入り禁止だよね?!君も結構ワルだねぇ」
私とは別世界の人間。
こーゆーテンションの人とか無理。
てかもう人とまともに話したことが久しぶりで話し方とか知らん。
いやもっと言うと関わりたくない。
ノコノコ歩いてくるそいつの横を何事もなく通り過ぎてい___
けたら良かった。
パシッ
そいつは私の手首を掴みながら、さっきとは打って変わった真剣な顔でこちらを覗いてくる
?? 「ねぇ、逃げないでよ。名前、教えて」
なんで、あんたに指図されなきゃダメなわけ。
お前に名前なんか教えるわけない
てか、名乗るだけ無駄じゃないの?
?? 「早くして?」
紫 「…ッッ」
嫌いだ、そんな目で見るな、
その真っ直ぐした瞳
紫 「離せっ…!」
?? 「ん〜、言ったら離す」
…ッ
早く、離れて………
紫 「紫………天野紫。言ったから離せ…ッ」
?? 「OK〜!」
私の恐れてた顔と裏腹に満面の笑みで笑う。
…何に笑ってるの
??:「俺、光輝!茜原光輝!」
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。