…、は、
紫 「…どういう…こと、ですか、?」
黒夜 「そのままの意味だよ。ここにいたら、君のことを見ることが出来ないからね。それに私の近くにいてくれると助かるんだよ。」
…………、
…あ、れ?
黒夜 「どうしたんだい?」
父さんの強ばった顔
でも、今の私には何故か眼中に入っていなかった。
…なんで、だろ、?
きっといつもなら「はい」と言って終わるはず。
いままでだってそんなことあったじゃん。
父さんは、そうわかってるから言ってるんだろうな。
なのに、なんでだろ、
「はい」の言葉が喉に詰まって発せない。
その代わりに、“あいつ”の顔が頭にチラつく。
なんで、アイツの顔が……ッ
ダメだ。
ここにいちゃ、ダメなんだ___
そうだよ、そもそも私が誰かの顔を思い出すなんて、そんなの許されないことなんだもの。
何故か、心の奥で黒く染っていくものをしまいながら、なんとか声に出した。
紫 「…………………、分かりました…、。」
黒夜 「そうかい、そう言ってくれてホッとしたよ」
さっきまで強ばった顔をしていのに、急に表情を変え優しそうに笑う。
…、ッッ
黒夜 「ただ、せっかくのテストがあるからね。引越しはそれ以降にさせて貰うよ。詳しいことはまた連絡する。」
淡々と言う。
全てが思い通りになった顔で。
なにを言いなりになってるんだろ、こんなやつの。
まぁ………、いっか。
紫 「分かりました。」
___これでいいんだ……。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!