第11話

21
2021/07/14 11:02



…、は、





紫 「…どういう…こと、ですか、?」





黒夜 「そのままの意味だよ。ここにいたら、君のことを見ることが出来ないからね。それに私の近くにいてくれると助かるんだよ。」





…………、




…あ、れ?




黒夜 「どうしたんだい?」



父さんの強ばった顔




でも、今の私には何故か眼中に入っていなかった。




…なんで、だろ、?





きっといつもなら「はい」と言って終わるはず。





いままでだってそんなことあったじゃん。




父さんは、そうわかってるから言ってるんだろうな。





なのに、なんでだろ、




「はい」の言葉が喉に詰まって発せない。




その代わりに、“あいつ”の顔が頭にチラつく。






なんで、アイツの顔が……ッ




ダメだ。




ここにいちゃ、ダメなんだ___





そうだよ、そもそも私が誰かの顔を思い出すなんて、そんなの許されないことなんだもの。






何故か、心の奥で黒く染っていくものをしまいながら、なんとか声に出した。






紫 「…………………、分かりました…、。」





黒夜 「そうかい、そう言ってくれてホッとしたよ」




さっきまで強ばった顔をしていのに、急に表情を変え優しそうに笑う。






…、ッッ





黒夜 「ただ、せっかくのテストがあるからね。引越しはそれ以降にさせて貰うよ。詳しいことはまた連絡する。」




淡々と言う。




全てが思い通りになった顔で。



なにを言いなりになってるんだろ、こんなやつの。




まぁ………、いっか。




紫 「分かりました。」






___これでいいんだ……。

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