ハルとたくさん話をした。情けないことに、お互い口から出るのは「ごめん」ばかりだった。悩んでるのに気づけなくてごめんとか、何度も酷いこと言ってごめんとか、それから目を合わせてどちらからともなく笑った。
ハルを抱き寄せたら、恥ずかしそうに、だけどすんなり俺の腕の中に収まった。
俺の手をきゅっと握り、ハルが嬉しそうに呟いた。それが愛しくて堪らなくて、ハルの髪に頬擦りした。
そう言いつつ、ハルが俺の気持ちを受け止めてくれるのが嬉しくて俺も泣いていた。ハルの目からはとめどなく涙が溢れていたけど、もう目を真っ暗にすることも辛そうに顔を歪めることもなかった。今ハルの瞳にはちゃんと俺が映っている。俺の声が届いている。そしてハルが笑っている。
十分すぎるほどの幸せに打ち震えた。今までの全てが報われた気分だった。
やっと涙を流し尽くしたハルは、今回の戦犯に電話をかけた。
そいつはすぐ電話に出て、なんの悪びれもなく聞いてきた。
太我の言葉にハルは声を詰まらせた。何も言い返せないんだろう。悔しそうに口を尖らせ、「達也くんに任せるって言ったくせに」と糾弾した。なんのことだろうと疑問符を浮かべる俺の横で、ハルは続ける。
そんなセリフとともにぶつりと電話が切れた。呆気に取られながら携帯を見つめるハルが面白くてつい吹き出してしまった。
ハルの手からスマホを奪い取った。ソファにスマホを放り、ハルの両手と自分の両手を絡める。ハルの顔が赤く染まった。
俺の問いに、ハルはほんの一瞬不安そうな顔をしたが、すぐに俺を見つめ微笑んだ。
そうして、忌避し続けた言葉を自ら口にする。
頼まれなくたってうざいくらい言うつもりだ。ハルがいつか、心の底から俺を信じられるように。誰かからの愛情を、もう怖がらないように。
ここまで来るのにだいぶ遠回りしてしまった。だけど、ようやくハルの手を掴めた。
約束する。これから先、お前がどれだけ不安になったって、俺が必ず隣で支える。好きと言う。
だからずっと、俺の隣にいてね。
ハルがどこにも行かないように抱きしめた。こいつの眩しい笑顔も、キラキラした瞳も、大好きと笑う声も、俺はもう絶対に離さない。
終