第12話

合唱コンクール
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2019/02/07 13:17
合唱コンクール。




ほとんどの高校でやる行事。





1.2.3年生で10クラスずつあるから、学年ごとに1.2位を決めて、最後にその6クラスの中から優勝、準優勝、3位を決める。





もちろん、私たちのクラスが狙っているのは学校内での優勝。

















私のクラスが選んだ曲は…







「風になる」







文系で男子が少ないから、女子のきれいな声とハーモニーを意識しての練習が始まった。







初めはやる気のある人ばかりじゃなくて





衝突もあった。






でも、K先生は特に口を出すこともなく





ただただ黙って見守ってくれていた。






生徒思いで、行事を大切にしてくれているからこそだと思う。







これは生徒たち自身で乗り越えると信じてくれていた気がした。








そんなことばかり考えていた私は相当重症だ。





















そして、なんとか練習を重ね





形になってきた。







どんなときもあっという間に時間は過ぎるもので…








早いことにもう本番。








それなりにいい形に出来上がってきたからこそ








すごく緊張していた。























本番当日。






またK先生への好きが増える出来事があった。









いつものように登校し、




教室に入った私。








黒板に…こう書かれていた。


















「飴あげるから頑張れよ」














たった一行。





でも






その字を見て、すぐに誰の字かわかった。












K先生だ。











教室を見渡して見ると…












全員の席に飴が2つずつ置いてあった。













一体この人はどこまでイケメンなんだ?










今まで決してクラスで口を出すことが無かった先生。











本番当日にそんなイケをかましてくるなんて思ってもいなかった。











ずるい。








ずるすぎる。、












こんなの好きになるしかないじゃないか…










私はこの時、




今日が本番であるという緊張をすっかり忘れていた…























そんな、私には神々しく見える飴を食べて臨んだ本番。









結果は










見事学年で優勝。






総合では3位だった。







でも、3位の結果が発表された時、







やった!!!!!!





というより





あぁー…3位かぁ…






という反応の人の方が多かった。










そんな様子を見て、









K先生が








「おまえ達が優勝を狙っていたからこそ、3位という結果が悔しいのはすごく伝わってきた。でも、僕はこのクラスの担任で君たちをすごく誇りに思う。」








そう言ってくれたんだ。







みんなこの先生の言葉に救われたと思う。










やっぱり、先生は不思議な力を持ってるなぁ。

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