第16話

心のままに
539
2019/08/15 11:31
お茶会はそのまま静かに終わった


みんなが解散し、夜になった








あなたが風呂上がりに部屋へ戻ってきたときだった。
あなた
あなた
…こんばんは、盗人さん
あなたの部屋の窓にいたのは涼介だった。
山田涼介
山田涼介
やあ、嘘つき王女様
あなた
あなた
そんな言い方はないんじゃなくて?

私は、少なくとも嘘はついてないと思うけd…
山田涼介
山田涼介
“笑顔を絶やすな、真顔になるな”
あなたが涼介のためにお茶を用意していた。


その手が、一瞬ピタッと止まった。
あなた
あなた
…それがどうかしたのかしら
山田涼介
山田涼介
王様にそんな感じで言われ続けたんだろ
あなた
あなた
だから?あなたに何が分かるの?
山田涼介
山田涼介
わからねぇよ、んなもんわかってたまるか

だけどな、俺はひとついいにきただけだ
山田涼介
山田涼介
お前は心に従え。

例え心が沈んで何も思わずとも、そんなのかまうな。

お前はお前らしくいりゃいいんだよ
あなた
あなた
…あなたは、何故そんなにもまっすぐ言えるんですか
山田涼介
山田涼介
さあな
あなた
あなた
…あなたは、いつでも海みたいな静けさだわ
山田涼介
山田涼介
どういう意味だ
そう言いながら、あなたが用意してくれたクッキーを食べた。


ちゃっかりと部屋に入り、椅子に豪快に座っている。
あなた
あなた
皆が騒いでる時も、伊野尾さんとあなたは静かです。

それは何故?楽しいと思っていらっしゃらないの?
あなた
あなた
それと、
あなたが近づくと、涼介は椅子から離れ、こちらに手を向ける。
山田涼介
山田涼介
近づくな、それ以上来たらお前の体に傷つけるぞ
あなた
あなた
女性恐怖症、アレルギー…そんなんだったらこの場でくつろぐ振りはしない。

あなたは、あなたの能力は、
山田涼介
山田涼介
聞いてんのか!?
衝動で涼介の手からナイフが現れ、あなたに向けて投げる。


あなたはそれを手でギュッと握り、挙げ句つぶした
あなた
あなた
私に危害加えたいならどうぞ。

私は死ねないんです、あなた方のように命が一つあるわけじゃない
あなた
あなた
あなたの病は、私に危害を加えなければ治りません。

でも安心して。死にません。いくらでもぶつけていいですから。


接点のない私を、いつ好きになったかは知りません。

けど、一緒に治していきましょうよ、大丈夫ですから。
何崩れ地に手をつく涼介に近づき、ふわりと優しく抱きしめた
山田涼介
山田涼介
や、めろ、お前になにがわかんだよ、
山田涼介
山田涼介
お前に同情される筋合いねぇんだよ、

どっか行け、俺に構うな、
あなた
あなた
私は、ずっと笑顔を守り抜いてきた。

その理由は誰にも言いませんし言えません。

心のままに生きろと言ってくれたのはあなたです。

だから、今心に従って動いてるの。
山田涼介
山田涼介
…ばっかじゃねぇの…
だがあふれてくる涙は止まることなく流れ落ちてくる
ただ涼介は、あなたを抱きしめ返し、泣き続けた。

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