…行かないでおくわ。
私も。
本当?
うん。
武器を持っていない私たちがむやみに飛び込んでも、
返り討ちに遭ってしまうと思うわ。
私たちも無事じゃすまないし
お兄ちゃんも助けられなくなっちゃう。
警察に通報しようよ。
警察なら、お兄ちゃんを安全に助け出せる
可能性が高いもん。
そうね。
私たちが飛び込むより、警察に通報した方が、
お兄ちゃんを助けられると思う。
…分かった。
じゃあ、ここから脱出しよう。
そうだね!出口を探さないと…
2人とも、後ろ見てくれる?
後ろ…?
奥の方にシャッターが見えるでしょ?
あれ、出口だと思うんだ。
あれが出口?
大丈夫かな?罠じゃないかな?
そうとも考えられるけど、罠なら、
もっとアピールするんじゃない?
「出口ありますよー!」って。
あの出口、物置みたいになっていて
特に目立たないよ?
それもそうだけど…
それに、さっきから周りを見るあたり、
犯人は、僕たちの命を狙ってはいないみたいだよ。
そうなの?
本当に命を狙っているなら、公園で何かしているはず。
わざわざ、ここに連れてくる意味がないし、監視カメラも罠も
見当たらないから、命までは狙っていないんじゃないかな。
…どうして私たちをここに連れてきのかしら?
そこが分からないんだよね…
犯人の狙いは私たちだけど、命は狙っていない。
…犯人は、何がしたいのかな?
もしかしたら、普通ではないかもしれないわね。
少し危険な…メンヘラとかサイコパスとか…
分からないことだらけだけど、警察の調査が進めば明らかになると思う。
今は、あのシャッターから脱出しよう。
うん、そうだね。
行きましょう。
3人は、シャッターから脱出した。
外に見張りは居なかった。
3人は、長い距離を走って、ようやく交番に着いた。
警察は、すぐに動いてくれた。
パトカーのサイレンが鳴り響く。
3人は、交番で待機していた。
とても、心配そうな目で…
空はまだ青かった。
あの部屋で長い時間過ごしたように思ったが、意外と短かったようだ。
咲真は、今頃どうしているだろうか…
3人は、何も話さなかった。
ただ、咲真の無事を願っていた。
END1 待機
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編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!