樹くんは私の手をそっと握った
樹「守ってやれなくてごめん」
「大丈夫だよ。私は大丈夫だから」
そう言うと樹くんの顔は歪んだ
樹「俺がお前を守らなきゃなのにさ」
そんな切なそうな顔させたくないのに
何が彼を困らせてるの?
「樹くん、何かあったの・・・?」
そう聞くと樹くんは顔を上げた
それから
樹「すげえかっこ悪いんだけどさ。あなたを守るためにあなたから離れなきゃいけなくてさ」
と言った
どういう事かと一瞬考えたが
すぐに樹くんが教えてくれた
樹「アイツ、自分から離れたらあなたをどうするかわかんないって言ってきて」
樹くんは私を守るために
ミキさんと共にいるらしい
樹「あなたを失いたくない。でも、俺どうしたらいいか分かんなくて、ごめん」
そう言って樹くんは頭を下げた
私は急いで樹くんの頭を上げさせた
「樹くん、私のことはいいよ。ミキさんのそばにいてあげて?きっとお父さんが大変なことになっちゃって疲れちゃってるんだよ」
そう自分にも言い聞かせるように言った
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。