何度も何度もいろんな所へ体をぶつけながら
倉庫の中を逃げ回る
後ろからは怒鳴り声が聞こえる
ミキ「あなたちゃんは私のオトリじゃなかったっけ?」
ミキさんが大きな声で言う
私は、オトリだ
ミキ「私のために死んでよ」
ミキさんのために死ななくてはいけない存在だ
そんなこと考えたら
ぽっかり心に穴が空いた
それから動いてた足が止まった
私は何かで殴りつけられ地面に倒れた
両腕を男の人が持って私を引きずりながら歩く
目の前には怖い顔をしたミキさん
ミキ「しぶといあなたちゃんもこうしたら死ぬよね」
そう言って私のおでこに銃口を向ける
これがオトリとしての私の運命なのかもしれない
ミキ「なに?その目」
そう言われて気がついた
私はずっとミキさんを見ていた
いや、睨みつけていたのかもしれない
男の人に後ろから叩かれるが
私の目はミキさんから動くことは無かった
ミキ「何様だと思ってるの?」
「私は、田中家のオンナです。」
自分でもびっくりするくらい凛々しい声
でもその凛々しい声はミキさんを怒らせた
ギリッと銃口を押し付けられる
ミキ「お願いだから死んでよ」
たぶん、私はここで死ぬだろう
最後の1回くらいは刃向かえて幸せだっただろう
どうだろう
こんな状況でも脳裏に浮かぶのは
樹くんの笑顔だった
きっと私は幸せだった
ゆっくり目を閉じてその時を待った
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。