第62話

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2021/03/27 16:38
どんどん増える傷

私は長袖でいることが増えた

小学5年生の夏の日

ジワジワとセミが鳴いていて

冷房のない部屋はとても暑くて

もうたぶん動いたら倒れる

そう脳みそで考えてた

そしたらお父さんの命令が聞こえなかったの

一瞬でお父さんが飛びかかってきて

私の首を絞めた

めり、めり

私、樹くんのお嫁さんになりたかったのに

そう思った時窓ガラスが勢いよく割れて

次の瞬間

樹くんが目の前にいた


樹「あなた!あなた!」


必死に私の名前を呼んでくれた

だから私も


「樹くん、たすけて」


って声を振り絞った

その後

お父さんはいなくなった

私と樹くんで消したのだ

震える私を抱き抱え

樹くんは走った


樹「大丈夫だから全部忘れろ」


優しく私にそう言った

翌日から私は田中家の人間になった

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