第43話

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2020/11/28 16:19
待って!そう言おうとした瞬間

また大きな音が響いて樹くんの左肩が弾かれた


「樹くん!!」


翔太「あなた、舌噛むから喋らないで」


私は渡辺さんから照さんに引き渡され

そのまま出口へ近づく


ミキ「止まってよ!!パパと同じくするんだから!!」


そう言ってまた大きな音が響く


「照さん!はなして!」


照「絶対ダメ」


「樹くんが」


そう言うと同時にドアが閉まった


翔太「こっち裏口だったか・・・」


渡辺さんは誰かに電話をかける

私は照さんの腕が緩んだ瞬間を見逃さなかった


照「あなたっ!」


思い切り抜け出してドアノブに手を伸ばした


「なんでっ!!」


そこからドアノブが回ることは無かった

ガチャ、ガチャと音を立てるだけ

ドアに耳をつけると

中から2人の声がする


ミキ「なんであなたちゃんに嫌われてないの?なんで?なんであいつは死んでないの!!」


ミキさんが大きな声を出す


ミキ「ドアノブ離してよ!!」


その声にハッとした

鍵がかかってるんじゃない

樹くんがドアを開かないようにしているんだ


「樹くん開けて」


お願い。お願いだから

貴方1人でどこかに行かないで


ミキ「そっかぁ、あなたちゃんは樹がいなかったら死んじゃうかぁ」


その声にドキッとした


「やめて!!やめてミキさん!!!私が死ぬから樹くんは殺さないでっ」


その声はミキさんに届かず

本日何度目かの大きな音が倉庫から響いた

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