第2話

Chapter 1
1,359
2019/05/29 22:51
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ある日、図書委員の仕事で図書室に行った時のこと。
放課後なのに、図書室の人の出入りは全くなくて、私一人しか居ないはずだった。
図書委員は当番制で、放課後に本の返却、貸し出しをやらなくてはならない。
その当番が今日、わたし浅葉あなたに回ってきた。
高校2年の4月。
適当に選んだ委員会が図書委員で、ほかの委員会より活動が少なくて、楽だと思った。
中学の時も、3年間図書委員だったから、高校も同じでいいやという単純な理由。
4月から1ヶ月くらいが過ぎた今。
ようやく図書委員としての初の仕事で、放課後の図書室に来たのはいいんだけど。
カバンを置くために、図書室に唯一あるソファの場所まで行った。
そこで驚きの光景が飛び込んできた。
なんと、目の前で倒れている人がいるではないか。
いや、正確に言えば、ソファの上でうつ伏せになって、微動だにしない。
いったい、何事だろうと心配になる。
倒れているのは男の子。
もしかして、倒れているんじゃなくて、寝てるだけ?
でも、寝ているにしては不自然な寝方。
こんなふうに、うつ伏せで倒れているみたいに寝ている人は、見たことがない。
一瞬、なぜか、この光景に既読感を覚えた。
いつの頃の記憶か、はっきりしてないけど、まだ私が幼かった時 ⋯ 。
こうやって倒れていた男の子がいたような気がするけれど、具体的に思い出せない。
もしかして体調が悪くて倒れているのかな?
人の助けが必要なくらい緊張だったら助けてあげないと。
一応声をかけてみた方がいいと思って、少し距離を詰めた。
顔を近づけて、とりあえず息をしているかを確認してみる。
 『 うん 、生きてる 』
すやすやと寝息が聞こえるから、生きてるはいるっぽい。
いや、だとしたら寝方が不自然すぎじゃないかな ?!
身体を丸めずに、まっすぐピシッと、うつ伏せ状態で眠るなんて。
面白すぎて、思わずスカートのポケットからスマホをだして写真を撮ってしまった。
パシャッとシャッター音がなったけど、起きる気配はない。
このままほおって置いてもいいけど、図書室の施錠は私がしなきゃいけない。
だから、いつまでもここで寝ていてもらっては困る。
『 あの ー 、起きてください 』
しゃがみこんで、寝ている男の子の耳元でこえをかけながら、体を揺すってみた。
すると、ピクっと体が動いた。
そして、もぞもぞと動き出して、うつ伏せだった状態から起き上がった。
 「 ⋯ ん 、おはよ 」

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