⋯⋯ は?
わたしと風磨くんが一緒に暮らす ⋯ ?
どうか聞き間違えであって欲しい 。
開いた口が塞がらない 。
あほ面って言われても仕方ないくらい 、今の私はとんでもない顔をしていると思う 。
あれ 、私夢でも見ているのかな?
うん 、きっとこれは夢に違いない 。
疲れていたせいで 、家に帰ってきてから寝てしまって 、今は夢の中なんだ 。
目が覚めてしまえば 、これが夢だってわかるはず 。
ほら 、頬を引っ張ったら痛くないはず ⋯ 。
『 ⋯ い 、いひゃい( いたい )』
残念ながら 、痛い 。
つまり 、これは現実だ 。
『 ⋯ えええ!!はあ?!あ 、ありえないんだけど!! 』
風磨 「 ⋯ 声でか 。しかも反応遅いし 」
隣から嫌味が聞こえてくるけど 、今はそんなことを気にしている場合じゃない!
母 「 あら 、そんな驚かなくてもいいんじゃない?あなたってばオーバーリアクションなんだから 。ふまくんみたいに落ち着けないの? 」
『 いきなり訳の分からないこと言われたら 、誰だってこんなふうになるでしょ!ってか 、さっきから出てくるふまくんって誰なわけ?! 』
母 「 あなたの隣に座ってる風磨くんの事よ?忘れちゃったのかしら? 」
ふまくん = 風磨くん?
いや 、全く結びつかないんだけど 。
母 「 やだ〜 、ほんとに覚えてないの? 」
『 お 、覚えてない ⋯ 』
母 「 じゃあ 、まずは昔話からしないといけないわね 」
お母さんがそういうと 、昔話とやらが始まった 。
話は私が幼稚園の頃まで遡る 。
その当時 、私が仲良くしていた男の子がひとりいた 。
見た目が女の子みたいで 、男の子達にいじめられてばかりで 、人の後ろに隠れてばかりの 、臆病な子だった 。
2人で1緒にいた時は 、私が活発な性格だったのと 、見た目も女の子らしさがなかったので 、よく男の子に間違えられていた 。
その仲良くしていた男の子は 、いつもいじめっ子たちに色々言われても言い返したりしなくて 、私の後ろにビクビクおびえて 、逃げてばかり 。
だから 、何故か女の子である私が 、その男の子を守っていたような過去があったりする 。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。