この人が…私のお兄ちゃん…!!!
目がお母さんに似てる…!
でも、それ以外は少し違う?
『ほ、ん、と、う、に、み、え、る、の?』
お兄ちゃんの指が私の手のひらに触れる。
とっても…優しい…。ぬいぐるみさんみたいな、そっと私に触れる感覚…。
「うん!見えるよ!!」
『そ、う、か…。
よ、かっ、た、な、な、おっ、て。
そ、れ、と…い、ま、ま、で、た、す、
け、ら、れ、な、く、て、ご、め、ん、な』
お兄ちゃんは悲しそうに、泣きそうに笑う。
なんで…お兄ちゃんがそんなに悲しい顔するのかな?私は悲しくないのに。
「お兄ちゃん?悲しいの?」
『か、な、し、い、わ、け、じゃ、な、い。
もっ、と、は、や、く、た、す、け、て、
あ、げ、れ、ば、よ、かっ、たっ、て、
こ、う、か、い、し、て、る、だ、け、だ』
そう言うお兄ちゃんは涙が溜まっていた目から一滴だけ涙を零す。
「後悔…?難しい言葉だね…!
ねぇお兄ちゃん!お名前教えてよ!!」
「フッ……フフッ。そっか優樹にはわからないか。
お前が笑ってるなら俺も笑ってないとな」
お兄ちゃんなんて言ったんだろ?
聞こえるようになったけどなんて喋ってるかわかんないや。
でも…お兄ちゃんが笑ってよかった…!!
『お、れ、の、な、ま、え、は、ね------」
次回、最終章!!
最終章へ続く
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。