第16話

第16章
166
2020/10/29 10:48
この人が…私のお兄ちゃん…!!!


目がお母さんに似てる…!
でも、それ以外は少し違う?
『ほ、ん、と、う、に、み、え、る、の?』
お兄ちゃんの指が私の手のひらに触れる。
とっても…優しい…。ぬいぐるみさんみたいな、そっと私に触れる感覚…。
「うん!見えるよ!!」
『そ、う、か…。
 よ、かっ、た、な、な、おっ、て。
 そ、れ、と…い、ま、ま、で、た、す、
け、ら、れ、な、く、て、ご、め、ん、な』
お兄ちゃんは悲しそうに、泣きそうに笑う。
なんで…お兄ちゃんがそんなに悲しい顔するのかな?私は悲しくないのに。
「お兄ちゃん?悲しいの?」
『か、な、し、い、わ、け、じゃ、な、い。
 もっ、と、は、や、く、た、す、け、て、
 あ、げ、れ、ば、よ、かっ、たっ、て、
 こ、う、か、い、し、て、る、だ、け、だ』
そう言うお兄ちゃんは涙が溜まっていた目から一滴だけ涙を零す。
「後悔…?難しい言葉だね…!
 ねぇお兄ちゃん!お名前教えてよ!!」
「フッ……フフッ。そっか優樹にはわからないか。
 お前が笑ってるなら俺も笑ってないとな」
お兄ちゃんなんて言ったんだろ?
聞こえるようになったけどなんて喋ってるかわかんないや。
でも…お兄ちゃんが笑ってよかった…!!
『お、れ、の、な、ま、え、は、ね------」





次回、最終章!!

最終章へ続く

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