第13話

第13章
143
2020/10/26 10:39
『ゆうきちゃんのみみは、みぎのほうだけなら、きかいをつければきこえるんだ、でも、ひだりのみみは、しゅじゅつをしても、なおるかわからない…。』


手術…どんな感じなんだろう…わからないけど私の耳に目は治るかもしれないんだ…。
「その手術っていうのは私はできるの?」
『いま、きみのうしろに、きみのおかあさんと、おにいさんが、いるんだきいてみるよ』
え…お兄さん…?私にお兄さんがいるの…?
今話してるのかな…誰も話しかけてこない。
ぬいぐるみさんは?私、てっきりぬいぐるみさんが後ろにいるものだと…。
『ねぇ、ゆうき』
誰の手?初めて触れる手………。
この人が私のお母さん?
『あなたは…ふつうのおんなのこなの…?
 いつも、じょうしから…
 きんじょのひとから…あなたは…おかしなこどもなんだって。
 ばかにされつづけて…
 だからわたしは…わたしは…』
私の手のひらにポツリポツリと水滴が落ちてくる。
「お母さん、私はお母さんの子供だよ
 他の子がどんな子なのかわからないけど、
 笑えるし、嬉しいと思えるし、お腹もすく
 普通の女の子だよ、お母さん」
『ごめんね……ごめんね…』
さっきよりも水滴が落ちてくる速さが速くなってる…。
泣いてるんだお母さんは。
「大丈夫だよ…私、寂しかっただけで怒ってはないからね…」
『しゅじゅつうけたい?』
「うん、お母さんの顔と声が聞きたいし、
 ぬいぐるみさんにもお礼したいから
 手術うけたい!」
『わかった、うけよっか』
「ねぇ、お母さん私お兄ちゃんとお話ししたい」
私のお兄ちゃん…どんな人かな?
見た目は私と似てるのかなぁ?
『ごめんね、おにいちゃんは
いまはなしたくないんだってまたこんどね』
「うん……わかった」
お話し…したかったなぁ…。






第14章へ続く

プリ小説オーディオドラマ