あたしは仲間家で暮らしてて
みんなのことが大好きで
毎日楽しく過ごしてた。
特に誰と付き合うとかもなく。
前にマホトから言われた、
キス好きだよねって。
考えたことなかったけど
まぁキスするのは好きなのかな。
そんなある日、
突発性難聴になった。
簡単に言うと耳が聞こえない病気。
しゃべることはできるけど、
自分の声がどう聞こえるのかはわからない。
突発性難聴は普通、
片耳だけが聴こえなくなる病気だけど、
気づいた頃にはもう遅くて
片方は全く聴こえなくて
もう片方は大きな音は微かに聴こえる。
突発性難聴の完治率は3分の1。
あたしは他の3分の2の存在。
薬で治る場合もあるけど、
あたしには意味がなかった。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!