私が好きなのはやっぱり…
達也くんは目を見開いて
そう言った
瞬間、私はどうすればいいか分からなくなった
太我くんが言ってたのは嘘だったのかな
達也くんは1度も私のこと好きになんかなってないのかな
私がもしあの時呼び止めてなければ
隣にいたのは私だったのかな
達也くん
私はずっと、ずっと大好きだったよ
達也くんには伝えられないけどね
ごめんね
迷惑ばっかりかけちゃって
幸せになってね…
ずっと聞いてこなかったこと
ずっと聞けなかったこと
でも、もう聞くしかない
覚悟を決めて
袖を握りしめて
達也くんの目をしっかり見て
分かるでしょって…
分かりたくないんだよ
でも、彼女いるんなら仕方ないよね
達也くんに愛してる人がいるように
私にもいるんだ
それが、叶いもしない恋だったってだけで
なんだかなあ…
これ以上ここにいたら全部ぶちまけてしまいそうで
私は扉を閉めて
また走った
走った
ひたすら走った
家の前について
部屋に入ろうとした時
太我くんがいた
なんで謝るの
私が悪いのに
自分で話しておきながら
苦しかった
だけど
どこか、楽になれた気がした
今までずっとちゃん付けだった太我くんが
呼び捨てで呼んでくれて
訳が分からないくらい泣いた
2人でたくさん泣いた
太我くんは何度も何度も好きと伝えてくれた
もう離さないからって
俺なら手繋げるからねって
それだけの関係にならないからって
恋愛しようって
ごめんね、ありがとう
私たちの関係って…?
もう、終わったよ
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!
転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。