それからというもの
達也くんのタイプがギャルだと知ったら
ギャルっぽい服装、メイク、髪型にして
達也くんが○○好きなんだよねって言ったら
それをめちゃくちゃ勉強して
達也くんの理想のスタイルを知ったら
その通りになれるようにダイエットして
達也くんが○○ほしいなって言ったら
会う前に買ってプレゼントして
彼女になったつもりでいた
だけど気づけばそれだけの関係になっていて
ラブホテルに行くんだから恋人のはずだけど
なぜだかもう手は繋げなくて
会話は全くなくて
愛を感じれるのは達也くんのが私の中に入った時だけ
おかしかった
でも拒否しない自分がいて
快楽に溺れてる自分がいて
ヤる
そうすれば達也くんの近くにいれるから
セフレ
この立場を利用して
ブーッ ブーッ ブーッ
行為が終わればあとは寝るだけ
達也くんはすぐに携帯を確認する
1度だけ、達也くんの携帯を見た事がある
故意にじゃなく、過失
画面には私に向けられるはずだった愛が溢れていた
「好きだよ」
「愛してる」
「今度あそこ行こうね」
「お義父さん、お義母さんにも挨拶しなきゃ」
「今日帰り遅くなるかも、ごめんね」
「悪い男に付いてくなよ、気をつけて」
「おはよ」
「今休憩中」
「今日晩飯なにがいい?」
「掃除やっとくね」
「おやすみ」
なんでかな…
私じゃない理由は?
ううん、わかってる
ヤってしまえばもう終わり
携帯を閉じて
眠った達也くんの背中を優しくなぞる
彼女だったらなんもなくても抱きつけたのかな
小さく呟いた
その次の日の夕方、太我くんから電話が来た
スケジュールを確認するフリして考えていた
達也くんと会う時間は必ず23時以降
20時か…
これが普通なのかな
迎えに来てくれるんだ…
もしかしたらみんなからすれば当たり前なのかもしれない
会うなら夜といってもまだ早い時間で
家まで迎えに来てくれて
車に乗せてくれて
優しくしてくれて
私も前まではそうだと思ってた
だけど
私の普通はもう変わっていた
久しぶりだな…
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!
転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。