鬼は私となおきりさんのみ。
みんなが今は隠れるのを待っている。
すると、なおきりさんは少し難しい顔をする。
そう言ってなおきりさんは微笑む。
そう言うと、なおきりさんは「はい」と嬉しそうに笑った。
なおきりさんの出した腕に、私はパンジーを巻き付ける。
自分の腕にも、パンジーを巻き付ける。
そう言ってから、私は猫耳と尻尾を出現させる。
そう言ってなおきりさんは少し俯く。
そう言いかけたところで、爆発音のように大きいスタート音がスピーカーから流れる。
朝礼台の真横にスピーカーがあったせいで、なおきりさんも私も耳を思いっきり塞ぐ。
それから二人で顔を見合わせて笑った後、東と西に別れて走っていった。
それから通信は途切れ、私は走ってみんなを探した。
耳をぴくぴくと反応させ、音を探す。
木の影に一人、ですか。
相手が隠れているであろう木の少し横に、杖先を合わせる。
普通魔法には詠唱がいる。でも、私はそれを省いて魔法を展開することが出来る。
杖先から、植物のツタを勢いよく伸ばす。伸ばす。
手応えがあった。
木の後ろから声がする。
相手にツタを巻き付け、引っ張り出す。
そう言ってツタを引っ張ったまま微笑むと、相手は私を見て青ざめた。
……後ろから魔力反応…!
ツタを引っ張ったまま、杖を大きく振りかぶる。
魔力と魔力がぶつかる爆発音がしてから、二年生が上から落ちてくる。
ニコッと笑ってその人にもツタを巻き付ける。
鬼に与えられるポシェットの中から、精霊入りの瓶を二つ取り出し、二人の目の前に叩きつける。
割れた瓶から精霊が飛び出し、二人をワープさせて消えていった。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!